研究課題/領域番号 |
22J12002
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
KWAK MINSEOK 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | 京都大学 / 田辺元 / 朴鍾鴻 / 種の論理 / 我々の哲学 |
研究実績の概要 |
研究課題である「植民地朝鮮と京都学派」について、西田幾多郎に続く京都学派の精神的支柱であった田辺元と、戦前戦後の朝鮮(韓国)哲学を構築したもっとも重要な人物である朴鍾鴻の二人の哲学者を中心に研究を行った。研究は順調に進み、学術誌への数回の投稿や学会発表などの形で研究の成果を公開した。本研究の主な成果は以下の通りである。 まず、戦前戦間期に田辺が打ち出した彼独自の哲学的論理である「種の論理」を、帝国日本における民族的な自己意識として解釈し、田辺哲学の実践的な性格について論究した。この作業を通じて、従来の田辺研究において見逃された田辺哲学の一面を明らかにすることができた。この成果を、学術誌『哲学』に投稿し、掲載された。 また、従来まったく研究されてこなかった田辺哲学の植民地朝鮮への影響を、特に朴鍾鴻の哲学を中心に論じた。この作業は、日韓比較思想史における重要な契機の一つを初めて明らかにした業績として評価できる。この成果は、田辺元没後60周年記念論集である『危機の時代と田辺哲学』に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「植民地朝鮮と京都学派」という大きなテーマを全般的に扱うことには及んでいないが、田辺元と朴鍾鴻という本テーマにおける重要な哲学者に焦点を当て、意義の大きい研究成果を生み出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究においては、主に戦前戦間期という時期を中心にして考察を行ってきたが、今後戦後にまで視野を広げ、田辺元と朴鍾鴻の哲学を比較考察していきたい。というのも彼らが戦後の社会に与えた社会的な影響はけっして無視できるものではないからである。このような作業を通して、現在の日本と韓国と直接につながる戦後の東アジア社会を、哲学の領域から思考するための道が開けてくると考える。
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