研究実績の概要 |
本年度は第一に新規スピントルクが期待されている材料である,L12-Mn3Ir(111)配向薄膜の作成およびその輸送特性評価に取り組みました。 薄膜は(001)配向薄膜を作成した時と同様にRFスパッタ法を用いて作成しました。薄膜作成時の積層温度を変化させることで、規則度および結晶性の制御を試みました。X線回折法による規則度および結晶性の評価を行ったところ積層温度によって、薄膜の特性を制御することが出来ていることが明らかになりました。作成した試料に微細加工を施し輸送特性を評価したところ、これまで作成に成功していた(001)薄膜や多結晶薄膜に比較して顕著な性質を示すことを明らかにしました。これは理論的な予測と一致するものであり、今後新規スピントルクに限らず応用されることが期待されます。 第二に同様に新規スピントルク材料として期待されているMn3Sn薄膜を作成しその熱安定性を評価しました。薄膜はRFスパッタ法を用い作成しました。作成した薄膜の熱安定性をスピントルクによる磁化反転から評価し大きな熱安定性を持つことを明らかにしました。これはMn3Snが新規スピントルク材料として優れた特性を有していることを示しています。 以上の結果をまとめ2報の論文として報告しました。
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