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2023 年度 実績報告書

神経細胞の樹状突起の「かたち」が果たす機能的役割の膜電位イメージング解析

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ1851
配分区分基金
研究機関京都大学

研究代表者

森田 雅登  京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
キーワード膜電位蛍光イメージング / 海馬神経細胞 / 興奮性シナプス後電位(EPSP)
研究実績の概要

本研究では、神経細胞樹状突起の特徴的な「かたち」が生む機能的役割の解明を目指してきた。昨年度までに、培養海馬神経細胞において「興奮性シナプス後電位(EPSP)が樹状突起で伝播方向依存的に異なった修飾を受ける」という新規現象の分子メカニズムを調べ、Na+チャネル、K-ClトランスポーターKCC2がEPSPの樹状突起末端方向へ伝播する時の増幅に重要であること、さらに、静止膜電位が樹状突起末端になるほど深くなり、その傾向がKCC2に依存することを明らかにした。
上記の研究進展に基づき、樹状突起での細胞内Cl-濃度に依存した深い膜電位がEPSPの増幅に寄与する可能性を考え、膜電位が深いほど活性化するCl-チャネルの存在に注目した。膜電位蛍光イメージングとスポットレーザー光によるケージドグルタミン酸の局所光活性化を用いて、EPSPがいかに樹状突起内を伝播するかを解析した。薬理阻害により、Cl-チャネルも樹状突起末端方向へ伝播する際のEPSP増幅に寄与することが分かった。以上から、伝播方向依存的なEPSP増幅は、樹状突起末端の静止膜電位が細胞内Cl-濃度に依存して深く保たれていること、脱分極によりCl-透過性が減弱すること、脱分極が枝に局在するNa+チャネルを活性化すること、が協調的にはたらくことでおこると示唆された。
さらに、グルタミン酸の局所刺激箇所を複数に増やし、枝でのEPSP加算を調べた。その結果、樹状突起の末端から細胞体方向へ連続してグルタミン酸入力がある時には、Na+チャネルとKCC2の活性に依存して突起末端領域で入力加算が強く起こった。以上から、樹状突起内で伝播方向に依存して非対称にEPSPが修飾されることで、連続した入力がその時空間コンテクストに応じて強弱が変化するという新規の局所演算機構を同定した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Cl<sup>-</sup>-dependent amplification of excitatory synaptic potentials at distal dendrites revealed by voltage imaging2023

    • 著者名/発表者名
      Morita Masato、Higashi Reo、Kawaguchi Shin-ya
    • 雑誌名

      bioRxiv

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1101/2023.05.29.542696

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 樹状突起におけるシナプス入力の非対称性修飾を介した時空間統合の動的特性2023

    • 著者名/発表者名
      森田 雅登、川口 真也
    • 学会等名
      第46回日本神経科学大会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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