irAE大腸炎患者において、UC同様に抗インテグリンαVβ6抗体を有するかどうかをELISA法にて検証した。irAE大腸炎患者26例およびコントロール群として他臓器irAE患者、健常者の合計157例とした。irAE大腸炎は発症時に血清採取および内視鏡検査が同時期に行われている症例を選択した。その結果、irAE 大腸炎では30.8%(8/26)において、抗インテグリンαVβ6抗体を有する一方でコントロール群では1.9%(3/157)しか同抗体を有していなかった(P<0.001)。 また、抗体陽性例の内視鏡所見は、陰性例と比較しUCに類似する所見を多く有していた。また、経時的に複数ポイントで血清が採取されている症例に関してはいずれも病勢(Mayo score)との相関を認めていた。臨床経過としても陽性例では、陰性例と比較し、CTCAE grade3以上の重度の大腸炎を有意に認めており(P=0.001)、ステロイド難治性でインフリキシマブ投与が必要になるなど難渋した傾向を認めていた(P=0.005)。 加えて、抗体陽性例では100%(8/8)、抗体陰性例では50%(5/10)と抗体陽性例においてインテグリンαVβ6を発現している傾向を認めた(P=0.036)。原発巣におけるインテグリンαVβ6発現と抗体産生の関連やB細胞レパートリーから同抗体が産生されるメカニズムに関しては、健常者のPBMCを用いた高感度ELISAを用いた検証など行うも十分に解明できず、今後さらなる検証が必要であると考えられた。 irAE大腸炎の診断や病勢評価のために下部消化管内視鏡検査が推奨されているものの、担癌患者において複数回の侵襲的検査は負担になる。本研究を通して、抗インテグリンαVβ6抗体はUC様のirAE大腸炎という限局的ではあるもののその診断、病勢評価マーカーとして有用である可能性が示唆された。
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