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2022 年度 実績報告書

カニクイザルを用いた造血幹細胞の分裂メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22J14908
配分区分補助金
研究機関京都大学

研究代表者

大嶋 慎一郎  京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2022-04-22 – 2024-03-31
キーワード造血幹細胞 / 非ヒト霊長類 / シングルセル解析 / 加齢
研究実績の概要

造血幹細胞は、自己複製能と多分化能を有する血液系の体性幹細胞であり、生涯にわたり全ての血液細胞を供給することができるが、その制御メカニズムや性質の多様性については未解明な事が多い。本研究では、非ヒト霊長類のカニクイザルを用いることで、よりヒトに応用可能な、造血幹細胞分裂を制御する分子基盤を解明することを目的としている。
初年度においては計画書記載の通り、まずは造血幹細胞をセルソーターで分取するための細胞表面マーカーの検討を行った。既にCD34陽性細胞集団に移植可能な造血幹細胞が含まれることは同定済みであったが、カニクイザルへ交叉性を示す複数の抗体の組み合わせを検討し、より純度の高い造血幹細胞集団を絞り込む事ができた。この手法により、免疫不全マウスへの移植実験系において、約4000細胞に1個の頻度にまで造血幹細胞の純度を高めることができた。先行研究では約7万細胞に1個の頻度であったことからも、本研究で確立した単離手法の重要性は高いといえる。
続いて、上記で確立した単離手法により、造血幹細胞および造血前駆細胞を単離して、シングルセル遺伝子発現解析を行った。当初の計画では、サンプリング実施可能性も考慮して初年度は胎生58日前後のみを対象とする予定であったが、滋賀医科大学動物生命科学研究センターと申請者所属研究所の協力により、胎生96日の胎児肝臓と胎児骨髄、成獣の骨髄もサンプリングすることができた。これにより、発生過程および出生後の造血幹細胞の遺伝子発現様式を網羅的に解析し比較することができた。複数タイムポイントで共通して造血幹細胞に高発現する分子や、特定のタイムポイントでのみ高発現する分子を複数抽出することに成功しており、次年度においてはその機能解析を進めていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定どおり、発生初期(胎生58日)のカニクイザル胎児肝臓より造血幹細胞集団を分取する新規マーカーを同定し、高純度で造血幹細胞を分取する方法を確立することができた。さらには、前述の通り、発生週数の進んだ胎生96日や成獣骨髄もサンプリング対象とすることができ、いずれもシングルセル遺伝子発現解析を行うことができた為に、発生過程における造血幹細胞の性質変化に対する比較研究を予定より進めることができた。一方で、当初予定していた、レンチウイルスを用いた造血幹細胞のRNAバーコード標識に関しては、カニクイザル造血幹細胞の培養に難渋していることから、現時点ではまだうまく標識することができていない。

今後の研究の推進方策

発生過程における比較解析結果を踏まえ、造血幹細胞の維持および分化を制御している機構を解明するために、各候補遺伝子に対して遺伝子編集を行い、移植実験等による機能評価を進めていく。また、より詳細に造血幹細胞の分裂制御分子基盤を評価するため、プロモーターやエンハンサーといったエピジェネティック解析も行う予定である。そして、当初の予定通り、所属研究所の数学チームとも協力して、数理解析モデルの構築と機械学習による遺伝子発現解析精度の向上に努める。
一方でレンチウイルスを用いた造血幹細胞のRNAバーコード標識に関しては、カニクイザルに使用可能なサイトカインや小分子などをスクリーニングしていき、まずは培養プロトコルを構築するよう努める。

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公開日: 2023-12-25  

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