この研究は、複数の光子が複数のモードに存在することによって形成される多光子多モード量子状態の量子コヒーレンスに焦点を当てています。具体的には、多光子多モード量子状態が示す量子相関が、線形光学量子回路を通じて行われるユニタリ変換によってどのように階層的な性質を持つかを明らかにしました。光子はその安定したコヒーレンスと、従来の制御素子による精密な操作の可能性から、量子計算、量子センシング、量子通信などの量子技術における有望な候補として期待されています。しかし、光子間の相互作用の弱さは、主に線形光学効果を利用した操作に限ります。光量子情報処理のアプローチは、単一光子源、線形光学量子回路、および光子検出器を含む三つの主要な要素に分けることができますが、これらの要素だけでは任意の量子状態を生成することには限界があります。
本研究では、従来理解されていたフォック状態とノンフォック状態に加えて、さらに4つの細かい分類(単一モードフォック状態、多モードフォック状態、真空検出によるノンフォック状態、真のノンフォック状態)を理論的に提案しました。特に、真のノンフォック状態を生成するためには,余剰光子と余剰モードが必要になります。また、「条件付き量子コヒーレンス」という新たな概念を導入し、真のノンフォック状態を評価する方法を提案し、この方法の有効性を実証実験で確認しました。これにより、量子情報処理の理解と応用の範囲が拡大されることが期待されます。
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