研究実績の概要 |
本研究ではウイルスベクターと遺伝子改変マウス、組織透明化法を組み合わせ、神経細胞の3次元的な形態解析を実施している。報告者らは、蛍光チラミドを用いたシグナル増感法(Yamauchi, [5名省略] Takahashi et al. [5名省略], 2022, Sci. Rep.)を、アデノ随伴ウイルスベクターを用いてGFP標識した神経細胞に対して適用することで、形態解析ステップの正確性の向上と効率化が実現されることを見出した。そこで本年度では応用として、本手法をマウスの前障領域におけるパルブアルブミン発現神経細胞とソマトスタチン発現神経細胞(SOM細胞)に適用し、これらの神経細胞が特徴的な樹状突起や軸索の走行様式を示すことを学術誌に発表した(Takahashi et al. [10名省略], 2022, Neurosci. Res.)。 SOM細胞へのシナプス入力様式の解析は、興奮性細胞由来のシナプス入力に関するデータ収集が完了し、現在分析を進めている。また抑制性神経細胞由来のシナプス入力の解析では、これまでの実験手法では検出が困難であった細胞種からのシナプス入力も定量的に同定しており、新たな結合様式を見出しつつある。これらの形態学的解析に基づくシナプス入力の空間密度分布のデータを踏まえて、これらのシナプス入力様式がもつ機能的、生理学的な意義を検証可能な実験系の構築についても合わせて探索していく。
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