研究課題/領域番号 |
22J15081
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 顕彦 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | GFRP / 疲労 / 剛性低下 / FEM解析 / モニタリング |
研究実績の概要 |
本研究はGFRP部材の疲労損傷に伴う剛性低下を評価するとともに,新たな非破壊検査手法を考案し剛性低下と関連づけることを目標とする.GFRPは歩道橋や小型水門の構造部材として採用されているが,疲労損傷の進展と共に材料剛性が低下することが報告されており,活荷重の大きな構造物への適用事例は少ないのが現状である.GFRP部材の疲労損傷や剛性低下挙動を明らかにし,土木構造部材としての使用性が担保可能であることを示せば,構造材料としての可能性が広がると期待される.本研究では,FEM解析および実験を通してGFRP部材の疲労損傷の評価手法を検討し,同時に剛性低下を評価可能な非破壊検査手法の開発を行う. 令和4年度は以下の成果を得た. GFRP材料の面内せん断・圧縮疲労試験を行い,それぞれの疲労強度と剛性低下挙動を調べた.実験を通して,GFRPの疲労強度を明らかにし,剛性低下挙動を数式モデルで表現することに成功した.実験から得た剛性低下モデルを用いて,厚肉積層板やGFRP桁部材の疲労載荷時の残存剛性を解析的に検討した.解析の結果,部材内の応力卓越部から剛性の低下が進行することを明らかにした.さらに,非破壊検査手法の開発では,GFRPの引張疲労試験を実施した.試験では残存剛性を計測する一方で,静電容量の変化を用いた疲労損傷評価手法の検討を実施した.実験ではGFRP試験体両面に電極を接着し,疲労試験中に2電極間の静電容量を測定し続けた.実験の結果,電極をGFRP試験体に接着した場合は,繰り返し載荷に伴う疲労損傷・剥離を静電容量の変化により探知する可能性が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度については,GFRP材料の疲労試験,疲労損傷による剛性低下を考慮したFEM解析を実施した.これらを通して,GFRP材料の剛性低下をFEM解析を通して評価する手法を開発することに成功した.また,非破壊検査手法については,提案手法を付加した材料の疲労試験を実施し,概ね予測と一致する結果を得るとともに,今後の課題も整理した.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は以下の研究内容を計画している. GFRP桁部材の曲げ疲労試験を実施し,載荷レベルに応じた部材剛性の低下挙動を明らかにする.また,令和4年度から実施しているFEM解析も継続し,雑賀形態や載荷位置を変化させた場合の疲労挙動について検討する. 非破壊検査手法の開発については,令和4年度の研究を通して明らかになった課題に対策を施し,再度引張疲労試験を実施する.試験を通して,提案手法による剛性低下の評価手法を開発する.
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