研究実績の概要 |
本研究では「研究の目的」に、天然セルロースがD-グルコースからのみから成る多糖高分子(D体)であるのに対して、L-グルコースからのみ成る多糖高分子(L体)およびD-グルコースとLグルコースの共重合体である多糖高分子(D/L体)の非天然セルロースを化学合成し、天然セルロースのキラル性が物性に与える影響を検討し、その知見に基づくD-セルロースのキラル性を利用した新たな高付加価値利用の開発および更なる高機能性をもつセルロース由来材料の創出を挙げている。「研究実施計画」に基づき、研究初年度である本年度は、主な研究成果として、下記2点を得た。 ①DL-セロビオース合成・物性解析:非天然である、L,L-セロビオース・D,L-セロビオース・L,D-セロビオースの3化合物を新規に化学合成した。天然セロビオース(D,D-セロビオース)とそれら化合物、計4化合物のアセチル誘導体の融点と結晶構造を測定したところ、エナンチオマーの関係にある化合物間で物性は一致し、ジアステレオマーの関係にある化合物間では異なるという結果であった。この結果より、目的化合物の合成が確認された。 ②L-およびD/L-セルローストリアセテートの合成:D/L 比 10/0 から 0/10 の D/L-セルロースを化学合成し、光学分割能などの物性解析を目指してトリアセチル誘導体化に供した。NMRスペクトル測定により、目的化合物の合成が確認された。
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