2023年度4月から9月までの期間は、2022年度に引き続きチュラロンコン大学アジア移民研究センターPremjai上級研究員に受け入れをしていただき、タイ北部のメーソットにて現地調査を実施した。1)避難民の生徒を受け入れている学校や職業訓練校にて、2021年クーデター以降の学校内及び生徒数の変化について聞き取り調査を実施した。2)調査地近郊に居住する避難民に対して聞き取り調査を実施した。具体的には基本情報に加え、移動の経緯や手段、人とのつながり、情報取得手段、移動後の収入源などを調べた。子どもがいる家庭では、保護者には子どもに望む教育や現在の教育状況、子どもには将来の希望進路に関して聞き取り調査を行った。1)と2)により、避難民の移動後の生活実態について鮮明になった。3) 2023年3月に難民に実施したアンケート結果を元に、2022年度に聞き取り調査を実施した難民の支援機関に対して追加の質問紙調査を実施した。主に、難民への職業訓練支援と難民の生活の今後の展望に関して調べた。 帰国後の9月以降は調査で得られたデータを分析するとともに、研究発表を行った。10月には、現地調査で得られた知見を元に、避難民の教育に関するオンラインワークショップを主催した。そこでは避難民、支援機関、研究者にも発表していただき、参加者を含めた意見交換を行った。それにより教育において避難民の抱えている課題が明らかになった。この結果はワーキングペーパーとして執筆した。研究成果をもとに東南アジア学会10月例会(関西)、東南アジア学会第105回研究大会、ARCM-CE Annual Conference to Commemorate International Migrants Day、日本タイ学会第34回定例研究会、移民社会における多文化共生研究拠点シンポジウムにて発表を行った。
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