研究課題
本研究の目的は「積層造形法を用いることによって生体適合性を持ち、かつ患者の骨の形状にフィットした人工股関節インプラントの造形すること」であるが、前者の「生体適合性を持つインプラント」に関してはこれまでの実験を通して造形が可能であることを明らかにできた。目標としていた500マイクロメートルの多孔体構造を持つインプラントの作成に成功し、そのインプラントを日本白色家兎に埋入してIn vivoでの評価を行った。具体的にはマイクロCTを用いて、埋入2.4.8.12週後の多孔体構造への骨侵入を経時的に観察した。骨侵入は埋入早期(2週後)から多孔体構造内への血管新生を足掛かりとして骨侵入をはじめ、経時的に多孔体内の骨の体積だけでなく骨密度の増加がみられた。術後12週の段階ではインプラント多孔体内の荷重部位の多くの領域において骨侵入が得られることがわかった。これらの知見は、積層造形法によって作成した多孔体インプラントが生体活性を持つと言えるものである。インプラント表面の生体活性処理(我々がこれまで研究をおこなってきたアパタイト核処理)を行わずとも多孔体内への骨侵入が得られることはこれまでの文献報告とは異なるものであり、我々としても新たな発見であった。またこれらの結果は整形外科・歯科領域で多用されるものの明らかではなかった、多孔体構造への骨侵入を経時的に評価できたという学術的側面を持つと考えられる。これらについての実験は全て終了しており、次年度中の論文報告を予定している。また、このインプラントのターゲット(どの手術に用いるか)を模索し、当該年度では明らかにすることができなかった後者の「患者の骨の形状にフィット」したインプラントの造形について研究を行っていきたいと考えている。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
Scientific Reports
巻: 13 ページ: 1~15
10.1038/s41598-023-28701-1
The Journal of Arthroplasty
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