研究課題/領域番号 |
22J15808
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
飯伏 純平 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | 自然免疫 / A群レンサ球菌 / STING / リソソーム分解経路 |
研究実績の概要 |
本年度では、A群レンサ球菌感染によるSTINGの局在変化について、DNAセンサータンパク質であるcGAS(cyclic GMP-AMP synthase)欠損細胞を用いて検証した。その結果、cGAS欠損細胞は野生型細胞と同様にA群レンサ球菌感染によりSTINGの局在変化が認められた。A群レンサ球菌が産生するサイクリックジヌクレオチドによりSTINGは反応して局在を変化する可能性が示唆された。 またSTING欠損細胞における細菌の分解経路について、オートファジーは誘導せずに主にエンドソーム/リソソーム経路で分解されるStreptolysin O(SLO)欠損株を用いて細胞内の菌数を評価した。その結果、STING欠損細胞では野生型細胞と比較して細胞内の菌数が優位に減少していた。さらにエンドソーム/リソソーム経路で分解されるEGFRの分解ついて検証した結果、野生型よりもSTING欠損細胞で分解が促進していた。以上よりSTING欠損細胞においてエンドソーム/リソソーム分解経路が亢進していることが示唆された。次にエンドソーム/リソソーム分解経路で分解物の選別に関わるESCRTタンパク質に着目し、共免疫沈降法を用いて相互作用を検証した。その結果、複数のESCRTタンパク質とSTINGが相互作用することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の予定であったSTINGと相互作用するESCRTタンパク質を複数同定することができた。その中でも、A群レンサ球菌感染細胞においてオートファジー分解経路ではなくエンドソーム/リソソーム分解経路へと誘導する候補因子を特定して、その欠損細胞の作製にすでに取り掛かっており、次の段階への準備は整いつつある。そのため、進捗状況としてはおおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、A群レンサ球菌においてサイクリックジヌクレオチド産生に必要な遺伝子欠損株を作製し、STINGの局在変化について評価する予定である。また、共免疫沈降法で得られたSTINGと相互作用するESCRTタンパク質について、エンドソーム/リソソーム分解経路を亢進する候補因子の欠損細胞あるいはノックダウン細胞を用いて、エンドソーム/リソソーム分解経路へとスイッチングするメカニズムの解明を試みる予定である。
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