有機トランジスタ(OTFT)は柔軟な基板上に印刷プロセス等により製造できることから、フレキシブルセンサー等への応用が期待される。しかし、センサーの信号処理や制御回路については 、従来のシリコン回路に依存していて、OTFTの柔軟性や軽量性を損なわない問題が存在する。本研究では、フレキシブルな有機センサーが取得する信号をその場で処理できるロバスト性が高い有機プロセッサの実現を目指す。具体的には有機トランジスタの特性に適したロバストな回路方式とアーキテクチャのの実装の検討を行う。 ロバストなロジック回路に関してはパストランジスタロジック(PTL)に基づくロジック回路の構築を検討した。PTLではトランジスタ数を減らし、主に強いp型有機トランジスタを使うため、動作安定性の向上と回路面積の節約につながる。研究の実施状況としては,デジタル回路で最もよく使われる加算器を例にとってPTL回路を試作し回路動作の検証を行なった。 アーキテクチャに関してはPTLに基づく軽量なone instruction set computer(OISC)プロセッサを検討した。OISCは、一つの命令で全ての演算が行うアーキテクチャで、システム構造が非常にシンプルで、有機トランジスタの実装に適していると考えている。同時にシンプルでありながら、チューリング完全で任意の演算を実行することが可能である。PTL全加算器を含むOISCプロセッサの内部回路の動作はテストチップの測定によって確認されて、有機OISCプロセッサの実行可能性を示している。
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