研究課題/領域番号 |
22J20280
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
太田 健治 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 核酸 / ラジカル |
研究実績の概要 |
本研究では、長寿命リン中心ラジカルを利用したsp3炭素-リン結合形成によるアルキルホスホン酸ジエステル合成法を開発し、その手法を基盤として核酸リン原子のアルキル化反応へと展開する。研究項目1では、長寿命なリン中心ラジカルの創出及び基質設計、研究項目2では、ラジカル-ラジカルカップリングを活用したsp3炭素-リン結合形成反応の開発、研究項目3では、核酸誘導体のホスホジエステル部位の化学修飾法の開発、を行う。現在まで、以下に述べるような研究成果が得られた。 研究項目1、2について、モデル基質である亜リン酸エステルとアルキル求電子剤のカップリング反応の開発を目指し、光酸化還元触媒の検討を行った。その結果、フェノチアジン型光酸化還元触媒を用いることで、亜リン酸エステルと脂肪族カルボン酸誘導体の脱炭酸型クロスカップリング反応が進行することを見出した。本手法は、従来法では合成困難であった嵩高い第三級アルキルホスホン酸ジエステル構造の構築が可能である。また、穏和な条件であるため、高い官能基許容性を有し、複雑な化合物の化学修飾に繋がる有用な反応と言える。本プロセスは、「ラジカル-極性交差機構」で発生したカルボカチオン等価体を活用した炭素ーリン結合形成反応である。 研究項目3について、アルキル源として脂肪族カルボン酸誘導体を用い、N-メチルベンゾ[b]フェノチアジン及びテトラフルオロホウ酸リチウム存在下可視光照射することで、二つのデオキシヌクレオシド構造と脱離基が置換した亜リン酸エステルのリン原子選択的なアルキル化反応が進行することを見出した。本手法により構築される第三級アルキルホスホン酸ジエステル構造は、核酸医薬品の新たな電荷中性バックボーンとして期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで、幾つかの発見をし、順調に研究が進展している。特に、脂肪族カルボン酸誘導体を用いて、N-メチルベンゾ[b]フェノチアジン及びテトラフルオロホウ酸リチウム存在下可視光照射することで、二つのデオキシヌクレオシド構造と脱離基が置換した亜リン酸エステルのリン原子選択的なアルキル化反応が進行することを見出した。本プロセスは、「ラジカル-極性交差機構」で発生したカルボカチオン等価体を活用した炭素ーリン結合形成反応である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度見出した、「ラジカル-極性交差機構」で発生したカルボカチオン等価体を活用した核酸リン原子の第三級アルキル化反応に関して、基質一般性を拡大し、論文化を目指す。
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