研究課題/領域番号 |
22J21732
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
呉 裴征 京都大学, エネルギー科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 金属材料 / 細胞内シグナル / 細胞集団 / 機械的刺激応答 |
研究実績の概要 |
ナノポーラス金アクチュエータを作製し,これを用いてヒト線維芽細胞の細胞シートに周期引張刺激を与えた.その結果,細胞シートがナノポーラス金アクチュエータの短軸方向に配向した.
細胞シートがナノポーラス金アクチュエータによる周期引張刺激で配向するメカニズムを調べるために,以下の2つの実験を行った:①細胞内のシグナル伝達を調べるため,ナノポーラス金アクチュエータを用いて細胞シートに周期引張を与え,その後ウエスタンブロッティング(抗体を用いてタンパク質の存在を検出する手法)で細胞内の細胞活性と関連するマップキナーゼ経路に含まれるERK,JNK,p38,細胞間の接着に関連するビンキュリン(Vinculin Y822)について定量的な解析を行った.②細胞が細胞外の機械的刺激を感知する蛋白質であるインテグリンの阻害剤であるObtustatin,BTT3033,細胞遊走に関連するミオシンの阻害剤であるBlebbistatin,ML-7を加えて,周期引張を与え,細胞シートの配向性を調査した.
結果は以下になる:①細胞シートに周期引張刺激を与えた結果,マップキナーゼ経路のERK,JNK,p38の活性化が確認された.その一方,細胞間の接着に関連するビンキュリン(Vinculin Y822)の活性化は認めなかった.②細胞シートに阻害剤を加えて,周期引張刺激を与えた結果,いずれも配向性が無くなった.以上の結果により,ERK,JNK,p38が活性化され,細胞の遊走性が向上し,細胞シートの配向に至ったと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ナノポーラス金アクチュエータを細胞シートに周期引張刺激を与え,そのシグナル伝達が伝播する距離を調べる.
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