研究課題/領域番号 |
22KJ1965
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
呉 裴征 京都大学, エネルギー科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | 金属材料 / 細胞内シグナル / 細胞集団 / 機械的刺激応答 |
研究実績の概要 |
昨年度ではナノポーラス金アクチュエータを用いて,配向させたヒト線維芽細胞の細胞シートに周期引張刺激を与え,細胞内シグナル伝達であるMAPK経路のERK,JNK,p38が活性化することを明らかにした.
今年度では,ナノポーラス金アクチュエータの周囲にプラスチック製の基板を付け,21×21mmの正方形サンプルを作製した.このサンブルの真ん中にはナノポーラス金アクチュエータが有り,このエリアのみ周期引張刺激を生じることができる.そのため,真ん中のナノポーラス金アクチュエータ部分から生じた周期引張刺激が如何に周囲の細胞シートへ伝達するかを調べることができる.また,本研究では,昨年度と同じインテグリンの阻害剤であるObtustatin,BTT3033,細胞遊走に関連するミオシンの阻害剤であるBlebbistatin,ML-7を用いて,長距離伝搬におけるインテグリンの役割について調べた.
結果は以下になる:①細胞シートに対して周期引張刺激を与えた結果,ナノポーラス金アクチュエータ上のみならず,プラスチック基板上の細胞シートも配向した.細胞間結合に関連するカドヘリンの応力伝達に関連するVinculinY822の活性を調べたところ,活性していないことが明らかになり,したがって,細胞内シグナル伝達により,約数ミリメートルの距離まで細胞が配向したと示唆される.②細胞シートに阻害剤を加えて,周期引張刺激を与えた結果,いずれも配向性が無くなった.以上の結果により,周期引張刺激はインテグリンを通して,細胞間結合であるカドヘリンを活性化して,そのシグナル伝達が数ミリメートルまで及び,細胞シート全体が配向したと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ナノポーラス金アクチュエータを細胞シートに周期引張刺激を与え,そのシグナル伝達をシングルセルRNAシーケンス(scRNA-Seq)で網羅的に調べる.
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