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2022 年度 実績報告書

金属協働触媒によるC-O結合官能基化反応の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22J22320
配分区分補助金
研究機関京都大学

研究代表者

関 凜  京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2022-04-22 – 2025-03-31
キーワードC-O結合活性化 / ロジウム / ランタン / 協働触媒 / 遷移金属触媒 / 複核金属錯体 / フェノール誘導体 / クロロシラン
研究実績の概要

令和4年度は,研究計画書に記載した「C(sp2)-O結合活性化・触媒的官能基化反応の開発」,および「C(sp3)-O結合活性化・触媒的官能基化反応の開発」に取り組んだ。
まず,C(sp2)-O結合活性化・触媒的官能基化反応の開発に関しては,フェノール誘導体のC(sp2)-O結合切断を伴う還元的ケイ素化について,目的反応を収率よく進行させる遷移金属・ルイス酸性金属協働触媒を見出し,基質適用範囲の調査を行なった。本反応は,天然から入手容易なアルコールまたはエーテルと,工業プロセスにおいて副生するクロロシランをもちいて,医薬品,材料またはその合成中間体として有用な有機ケイ素化合物を創出する有用な分子変換である。また,等量反応,NMR,XAFS,CV,UV-Vis,ESR,量子化学計算等を含む種々の反応機構研究から,系中で触媒的に生成した異種複核金属錯体がAr-O結合切断段階に大きく寄与していることを見出した。現在,この協働触媒系を参考に,C(sp2)-O結合活性化を伴う新たな分子変換,特に炭素-炭素結合形成反応への展開を試みているが,単に同様の触媒系を応用しただけでは期待した結果は得られなかった。また,C(sp3)-O結合活性化に関しては,ジアルキルエーテルのC(sp3)-O結合活性化・触媒的変換を可能とする金属協働触媒系の創出に成功した。本反応は,分子変換形式が上述のC(sp2)-O結合活性化と類似している一方,反応機構が全く異なることが示唆されている。現在,反応機構の詳細な解明とこれに基づく反応効率の改善が課題であり,調査中である。また,C(sp3)-O結合活性化に関しても,新たな分子変換への展開を試みている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

C(sp2)-O結合の触媒的シリル化反応における反応機構研究に際し,新たな測定・解析技術(XAFS,CV,UV-Vis,ESR,量子化学計算)を研究に取り入れる必要があったため予定より時間を要した。一方,上述の通り,C(sp2)-O結合活性化およびC(sp3)-O結合活性化の両課題において,新たな協働触媒系およびこれをもちいた新たな分子変換を確立した点において,おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

ジアルキルエーテルのC(sp3)-O結合活性化・触媒的変換に関し,反応機構の詳細な解明とこれに基づく反応効率の改善を行い,論文投稿を目指す。また,C(sp2)-O結合活性化およびC(sp3)-O結合活性化の両課題において,すでに確立した協働触媒系を参考に,より有用な分子変換への展開,すなわち炭素-酸素結合活性化を伴う炭素-炭素結合形成反応の創出を目指す。当初目的としていたトリフルオロメチル化,カルボニル化のみならず,オレフィン類の反応による脱酸素アルキル化反応,他の求電子剤による還元的クロスカップリング反応,エーテルの脱酸素を伴う分子骨格編集反応の開発を目的とする。
また,より高難度な目標として,C-OH結合活性化を設定する。そのためには,高い活性と安定性を両立した反応活性種が必要であり,根本的な反応系の再設計が必要である。当初の研究計画の通り,本年度にて得られた協働触媒系でもちいた金属を参考に,高機能な錯体触媒の設計を行う。
今後の研究の具体的な手法として,実験的な金属反応剤やその他の条件のスクリーニングを行うだけでなく,量子化学計算をもちいた触媒分子の設計やin silicoスクリーニングを並行的に用い,反応の探索を行う予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Rh/La協働触媒を用いるフェノール誘導体の還元的シリル化反応2022

    • 著者名/発表者名
      関凜, 中尾佳亮
    • 学会等名
      第68回有機金属化学討論会
  • [学会発表] Selective C-O Bond Reduction and Borylation of Aryl Ethers Catalyzed by a Rhodium-Aluminum Heterobimetallic Complex2022

    • 著者名/発表者名
      Rin Seki, Naofumi Hara, Teruhiko Saito, Yoshiaki Nakao
    • 学会等名
      XXII International Symposium on Homogeneous Catalysis
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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