研究実績の概要 |
随伴表現にしたがうHiggs場に関して研究を行った.このような随伴Higgs場をsu(5)ゲージ場を結合させると,低エネルギー側でu(1)×su(2)×su(3)ゲージ理論になることが知られている.この性質は,大統一理論などに応用されている. しかし,u(1)×su(2)×su(3)ゲージ理論と一口に言っても,そのゲージ群の大域的な性質は様々である.離散的な中心群であるZ_2,Z_3,Z_6で割る不定性を残しているのだ.これによりゲージ群の中心1形式対称性は微妙に異なってくるため,カラー閉じ込めなどに微かに影響する.特にSU(5)ゲージ理論を随伴Higgs場で破ると,U(1)×SU(2)×SU(3)をZ_6で割ったものがゲージ対称性になる.この中心1形式U(1)対称性と,SU(5)の中心1形式Z_5対称性を比較することで,随伴Higgs場の相転移を記述できるというのが,メインアイディアである.この中心1形式U(1)対称性は自発的に破れてZ_2×Z_3になると予想され,SU(2)×SU(3)の中心対称性のようにふるまうと考えられる. 本研究では,SU(5)を一般化して,SU(N)ゲージ場の場合を有限温度下で調べた.その結果,特にゼロ温度においては中心1形式対称性より解析的にHiggs相が区別できることがわかった.中心1形式対称性とは一般化対称性の一種で,Wilsonループ(のn乗)が秩序変数になることを意味する.基本表現にしたがうHiggs場の場合にはこのような一般化対称性はなかったが,随伴表現にしたがう場合には存在し,相の区別を可能とする.
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