研究課題/領域番号 |
22KJ2008
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
品田 晃希 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | 光学活性 / 空間反転対称性の破れ / 超伝導 / 超伝導エーデルシュタイン効果 |
研究実績の概要 |
本年度は、空間反転対称性の破れた系に特有な光学応答である光学活性の研究を行った。特に超伝導体を対象に光学活性の性質を研究した。結果として一つの物理公式(総和則)を得ることができた。この総和則は、常伝導相と超伝導相での光学活性のスペクトルを比較してその減少した面積を見積もると、それがある凝縮量に一致することを示す。この凝縮量は超伝導エーデルシュタイン係数と呼ばれ、空間反転対称性が破れた超伝導を特徴づける重要な物理量であるが、提唱されてから30年以上経過した現在でも測定されていない。しかし、本研究によりそれを光学的に観測できることが示され、観測手法の代替案を提案することができたのは意義深い。この結果をまとめ、Physical Review B誌にて出版し、また学会にて発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
固体物理学の中心的テーマである空間反転対称性の破れた超伝導体において、その超伝導転移に伴う応答現象(特に、光学活性)の基本的性質を明らかにした。光学測定によって超伝導エーデルシュタイン係数という重要な物理量の現実的な検出手法を提案できたことは、本研究の課題解明に向けて重要な進展だった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究活動により光学応答の有用性がより明らかになった。磁性体などの他の電子系の相転移現象・臨界現象の効果を取り入れ、さらに光学現象の理解を深めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
繰り越した分はもともと論文の出版費として使う予定だったが使う機会がなかったため、次年度の出版費の補填または学会への積極的参加のために用いる予定である。
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