研究課題/領域番号 |
22KJ2030
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大橋 麻里子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | アマゾニア / バナナ / キャッサバ / メキシコ / トルティージャ / トウモロコシ / ラテンアメリカ食文化 / 子どもと狩猟・農耕・漁業 |
研究実績の概要 |
本研究は、ラテンアメリカ先住民にとっての「地域発展」とは何かを、政府や国際機関が掲げる開発目標とは別の視点から考察するものである。そのために、 フィールドワークを実施し、ペルーとメキシコにおける先住民の人びとが、複数の場所に拠点を設けながら生活を営む実態を明らかにすることを試みる。 2023年度は、生活を維持していく上で欠かすことのできない「食の獲得・維持」について、「慣れ親しんだ食事(「伝統食」)」について明らかにするために、 以下のことを行った。
(1)「食べ物の獲得」そして「食への嗜好」という視点から、アマゾニア先住民に関する文献調査、そして、すでに収集してあったデータの整理を行なった。「主食としてのバナナ」と「酒として利用するキャッサバ」が、アマゾニア先住民の人びとにとって生存維持のためにも社会的にも、いかに重要であるかを、再整理した。 (2)さらに、アマゾニアの子たちが遊びとして行う生業の実態について整理した。生業技術の獲得だけではなく、食料の維持という点でも重要な活動となっていることが明らかになった。 (3)新型コロナウィルスの流行を理由に、これまで延期してきた海外フィールドワークを4年ぶりに再開することができた。2024年2月14日から3月10日にかけてメキシコに渡航し、ユカタン州とメキシコシティにおいて、先住民における主食作物の実態について調査を進めた。ユカタン州の先住民居地域タチウでは、トウモロコシの自家栽培と自家消費が維持されていた。今後もフィールドワークを重ねて、ペルーとの比較に向けたデータ収集を行なっていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、メキシコを対象に実現し、主食作物の実態調査に関するデータを収集することができた。しかしながら、当初計画していたフィールドワークを新型コロナウィルスの流行を理由に延期しているため、現時点で研究はやや遅れていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)今後は、引き続きメキシコでのフィールドワークを通して、メキシコ国内における主食作物をめぐる栽培や利用について明らかにしていく予定である。
(2)複数の場所を行き来する人びとが、本拠地(出身地域)特有の食べ物をどのように獲得しているのか、あるいは、獲得できない場合にはどう対応しているのかを、明らかするために、「移民」や「移動を繰り返す人びと」を対象に聞き取り調査を実施する。また可能であれば、同様の調査をペルーでも調査を実施できればと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度には新型コロナウィルスの影響により、予定していたメキシコでのフィールドワークが実施できず、その分の旅費を2023年度に繰り越した。2023年度のメキシコでの調査は、その繰越金を使用して行い、2023年度の旅費を使用しなかったため、その分の旅費を2024年度に繰越した。 2024年度は当初の計画では、2回の海外フィールドワークを予定していたが、遅れている分のデータ収集を行うことを考えているため、3回の調査を実施予定である。
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