研究実績の概要 |
前年度から取り組んでいたジアリールメチレンアミノ基を有する超原子価ヨウ素反応剤を用いたリチウムエノラートのα位アミノ化反応に関する論文を執筆し、これをChem. Eur. J.誌にて発表した(2023, 29, e202203722)。本論文はcover featureに選出された(DOI:10.1002/chem.202203722)。 本年度は、申請書の研究計画に従い第二級アミン触媒を用いるアルデヒドのα位アミノ化に取り組んだ。第二級アミン触媒としてベンジルアミンやピロリジン等を用いて検討したが、目的の反応は未達成である。 また、本超原子価ヨウ素反応剤の一電子酸化剤およびイミニルラジカル源としての反応性を活用する新規反応開発の過程で、可視光照射下でアルケンに対して炭酸カリウムとカルボン酸、本超原子価ヨウ素反応剤を作用させることでカルボアミノ化反応が進行することを前年度に見出しており、本反応について反応条件の最適化および基質適用範囲の調査を実施した。反応機構研究から、本反応はヨウ素反応剤の光励起が関与するラジカル機構で進行することが示唆された。本手法は、入手容易かつ取り扱い容易なアルケンとカルボン酸を出発原料として、複雑なアミンを簡便かつ迅速に合成可能な点で優れた反応である。本課題の結果は概ねまとまっており、国内および国際学会で成果を発表した。現在、論文投稿に向けて準備中である。さらに、スルフィン酸ナトリウムを基質に用いることで、アルケンのスルホニルアミノ化にも展開することができた。
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