研究課題/領域番号 |
21J20403
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
人見 将 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
|
キーワード | グラフェン / 薄膜 / 積層系 / ねじれ2層グラフェン / 準結晶 / 積層準結晶 |
研究実績の概要 |
グラフェンに代表されるような、原子が2次元的に整列した薄膜は一般に、2次元物質と呼ばれ広く研究されている。これまでの研究によってその物質群の多様性は多岐にわたり、また、さまざまな物理的性質が報告されている。さらに、異なる種類、物理的性質をもった2次元物質同士を重ねることでヘテロ積層系と呼ばれる人口結晶を合成することが可能であり、基礎・応用の両面で研究が進んでいる。 こうした流れを背景にして、近年、ねじれ積層系が脚光を浴びている。特にグラフェンを微小な角度をつけて重ねるだけで超伝導状態が発言することが報告されて以来、ねじれ積層系にまつわる基礎研究が盛んである。 さて、このねじれ積層系であるが、理論的視点から眺めてみると、微小角度での積層においてはモアレ模様という長周期構造が出現し、この構造に注目することで、超伝導の起源と思われるバンド構造などの電子状態が理解可能である。 しかし一方で、ねじれの角度が大きくなると、モアレ長周期は次第に存在しなくなり、最終的にはあらゆる周期性が消失した準結晶状態となる。これは結晶を重ねるだけで準結晶となる新しいタイプのものであり、ねじれ積層準結晶と呼ばれる。 本研究では、このねじれ積層準結晶の電子状態を理解すべく、30度ねじれグラフェンを舞台として、その理論的土台構築を試みた。特に本来準決勝では定義できないバンド構造に変わる擬バンド構造から出発し、光学特性や伝導、磁場中の状態を計算する方法などを提案した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時当初の計画においては、電子状態計算を基盤として、フォノン系やスピン系への理解を提案していたが、電子系の計算に限っても、多くの非自明な結果が得られているため、やや計画とは離れた結果になっている。しかし一方で、もとは想像していなかった結果を得ていることもまた事実である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、磁場中の電子準位の理解とその光学特性について明らかにする。また、海外研究者との共同研究において、電子系に相互作用、すなわち強相関電子系を舞台とした物理を展開する予定である。
|