研究① OPRM1 A118G多型によるオピオイド疼痛治療への影響に関する比較検討 オピオイドの効果発現には個人差が存在し、その主な原因として、オピオイド標的受容体の遺伝子多型(OPRM1 A118G多型)が注目されている。そこで本研究では、がん疼痛緩和目的でオピオイドを開始した患者を対象として、A118G多型が各オピオイドの効果発現に及ぼす影響を比較した。その結果、ヒドロモルフォンやオキシコドン、フェンタニルを使用した患者では、AAキャリアに比べてAGキャリアとGGキャリアの疼痛強度減少量が有意に小さかった。一方、タペンタドールやメサドンを使用した患者ではAA、AG、GGキャリア間で疼痛強度減少量に有意差はなかった。したがって、A118G多型の影響を受けにくいタペンタドールとメサドンは、Gアレルキャリアに対して有望な治療選択肢になり得ると考えられた。
研究② がん患者の骨転移痛に対するオピオイドの有効性に関する比較検討 がんの骨転移による痛みは、病態の進行に伴い脊髄神経の感作が進行するため、モルヒネなどのオピオイドでは鎮痛効果が得られにくくなる。我々の過去の研究より、タペンタドールとメサドンが神経障害性疼痛の要素を含んだ骨転移痛に対して効果を示す可能性が考えられたため、本研究では、神経障害性疼痛の代表的な症状であるしびれの有無で患者を分けた上で、治療前後での疼痛強度減少量をオピオイド間で比較した。その結果、しびれがある患者では、ヒドロモルフォンやオキシコドン、フェンタニルを使用した患者に比べて、タペンタドールやメサドンを使用した患者の疼痛強度減少量が有意に大きかった。したがって、タペンタドールとメサドンは、しびれを伴った骨転移痛に対し、他のオピオイドよりも有効性が高い可能性が示唆された。
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