研究課題
2023年度は主に2つの研究を行った。(1)結び目$n$-カンドルのカンドルホモロジーの研究を昨年度に引き続き田中心氏(東京学芸大学)と共同で行った。結び目$n$-カンドルとは結び目カンドルの商を取ることで得られる不変量であり、一般的には結び目カンドルよりも弱い不変量である。今年度は全ての結び目$n$-カンドルの2次カンドルホモロジー群を決定することができた。特に今回得られた定理の系として結び目$n$-カンドルの2次カンドルホモロジー群はいくつかの非自明な結び目を特徴づけるということがわかった。結び目カンドルの2次カンドルホモロジー群は非自明な結び目を区別できないことが知られているので、我々の結果から結び目$n$-カンドルの2次カンドルホモロジー群は結び目カンドルの2次カンドルホモロジー群よりも強い不変量であるということが従う。(2)多重共役カンドルとカンドルの$G$族に関する研究を行った。多重共役カンドルとは部分的に積演算を持っているカンドルであり、ハンドル体結び目と相性の良い代数系である。カンドルの$G$族とは群$G$の元ごとにカンドル演算が定まっている代数であり、カンドルの$G$族から多重共役カンドルを作れることが知られている。今まで知られている多重共役カンドルの例はカンドルの$G$族から得られた多重共役カンドルしかなかったが、今年度はカンドルの$G$族とからは得られないような多重共役カンドルを無限個構成することができた。他にもカンドルのアレキサンダー不変量に関する研究についても一定の進捗が得られた。今年度は3本の論文が受理され, 3本が投稿中である。また国内外の4つの研究集会とセミナーにおいて本研究に関連する招待講演を行った。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件)
Tokyo Journal of Mathematics
巻: - ページ: -
10.3836/tjm/1502179398
Topology and its Applications
巻: 342 ページ: 108775~108775
10.1016/j.topol.2023.108775
Journal of Knot Theory and Its Ramifications
巻: 32 ページ: -
10.1142/S0218216523500815