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2023 年度 実績報告書

損傷リソソーム応答の連携を担うTRIM21の作用機構とその生理学的意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ2086
配分区分基金
研究機関大阪大学

研究代表者

小倉 もな美  大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
キーワードリソソーム / リソソーム損傷応答 / ミクロオートファジー / ESCRT / 老化
研究実績の概要

生体分子の分解を担う酸性オルガネラ・リソソームは取り込んだ多様な物質によりしばしば損傷を受け、炎症や細胞死を誘導する有害な存在へと変貌する。これに対し、細胞はリソソーム損傷応答と総称される複数の機構を駆使し細胞の恒常性を維持しているが、その制御機構はほとんど解明されていない。また、リソソーム損傷の蓄積が神経変性疾患をはじめとする加齢性疾患や老化に寄与することが明らかとなりつつあるが、これら疾患や老化におけるリソソーム損傷応答の役割は不明である。以上より、リソソーム損傷応答の制御機構とその生理学的意義の解明を研究目的とした。
本研究では、これまでに取得したリソソーム損傷応答の新規制御因子候補からTRIM21とSTK38というタンパク質に着目し、各種リソソーム損傷応答への寄与を評価した。さらにSTK38については、その機能ならびに老化における役割を解析した。その結果、STK38が膜の切り離しを担うタンパク質複合体、ESCRTのリソソーム膜へのリクルートを介し、細胞内分解システムの一つ、ミクロオートファジーによるリソソーム修復(ミクロリソファジー)を誘導していることを明らかとした。また、本因子が老化過程でのリソソームの恒常性維持に寄与し、老化抑制や寿命延長に重要であることも明らかとした。
最終年度である本年度は、このSTK38によるミクロリソファジー制御の詳細な作用機序解析を実施し、キナーゼであるSTK38がアダプタータンパク質であるDOK1のリン酸化を介しESCRTのリクルートを制御していることを明らかとした。
本研究成果はリソソーム損傷応答の全容解明、さらにリソソーム損傷を伴う疾患の新規治療ターゲット創出に資するものである。また、本研究はリソソーム損傷応答が老化に対して防御的な役割を持つ可能性を示し、分子生物学的アプローチからの老化メカニズム解明に繋がることが期待される。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Microautophagy regulated by STK38 and GABARAPs is essential to repair lysosomes and prevent aging2023

    • 著者名/発表者名
      Ogura Monami、Kaminishi Tatsuya、Shima Takayuki、Torigata Miku、Bekku Nao、Tabata Keisuke、Minami Satoshi、Nishino Kohei、Nezu Akiko、Hamasaki Maho、Kosako Hidetaka、Yoshimori Tamotsu、Nakamura Shuhei
    • 雑誌名

      EMBO reports

      巻: 24 ページ: -

    • DOI

      10.15252/embr.202357300

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] リソソーム損傷応答の分子機構とその生理学的意義2023

    • 著者名/発表者名
      小倉 もな美、上西 達也、志摩 喬之、鳥形 未来、別宮 尚、南 聡、西野 耕平、根津 亜季子、濱崎 万穂、小迫 英尊、吉森 保、中村 修平
    • 学会等名
      第23回日本蛋白質科学会
    • 招待講演
  • [学会発表] Microlysophagy is essential to repair lysosomes and prevent aging2023

    • 著者名/発表者名
      Ogura Monami、Kaminishi Tatsuya、Shima Takayuki、Torigata Miku、Bekku Nao、Tabata Keisuke、Minami Satoshi、Nishino Kohei、Nezu Akiko、Hamasaki Maho、Kosako Hidetaka、Yoshimori Tamotsu、Nakamura Shuhei
    • 学会等名
      Keystone Symposia Autophagy and Disease
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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