現在、パーキンソン病(PD)の発症率は年齢とともに増加します。老化した細胞においては不要なタンパク質の分解系の機能低下が示唆されていますが、病理的なα-synucleinの分解系とその伝播の関係についての研究はまだ進んでいません。本研究では、新たに老齢マウスを用いてPDモデルを作成し、病理的なα-synucleinの伝播能を検討する。α-synuclein fibrilを線条体に注入し,老齢マウスより、若齢マウスではα-synucleinが非常に早期に消失していたことがわかりました。加齢とPD病態の関連性を検討するために、老化グリアにおける異常凝集タンパク質のクリアランス能の低下にも着目することで、老化したグリア細胞ではα-synucleinのクリアランスが低下していることが示唆されました。 本研究で使用している培養細胞モデルにおいて、オートファジー経路の阻害剤を追加すると、初代グリアおよび老化グリアの両方でα-synucleinのクリアランスが著しく低下したことが確認されました。具体的には、In vivo および In vitro のグリア細胞を用いた実験において、主にα-synuclein fibrilのクリアランスを担っているのがオートファジー経路であると明らかにしました。さらに、in vitro 実験において老化したグリア細胞では、オートファジー経路が阻害され、オートファージックフラックスが低下していることも明らかにしました。これらの結論をまとめ、最終年度の報告書の作成および発表を行う予定です。
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