研究課題/領域番号 |
22KJ2100
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
土元 哲平 中京大学, 心理学部, 任期制講師
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | 縁辺地域 / 離島教育 / キャリア発達 / 文化心理学 / TAEステップ / 環世界 / 風土 / 島立ち |
研究実績の概要 |
本研究では、縁辺地域(特に離島)における子どものキャリア発達モデルを、文化心理学の視点から構築することを目的としている。 2023年度も、昨年度同様に調査研究と、理論研究の両輪で本研究を進めた。まず調査研究としては、「島立ち」に関わる時期として、2024年2月に1週間程度、研究フィールドに滞在し、エスノグラフィー調査を行った。特に、今年度は教師側の視点を重視するために、今年度調査対象校から転勤になる予定の教員に対して、子どもの一年間での変化などについて尋ねるインタビューを織り込んだ。また、子どもに対するフィールド観察としては、地域や他の学校との関わりが顕著に現れる、特別活動の時間を中心に観察を行った。質問紙調査については、昨年と同様のものを実施した。 理論研究としては、1年を通して昨年度の成果を踏まえ、文化心理学者ヴァルシナーの「更一般化された記号領域」概念、文化心理学者ヴィゴツキーの「美的瞬間」概念と、環世界概念との接点を模索した。これらの成果は、2023年11月の日本質的心理学会第20回大会などでも発表した。さらに、2024年3月に文化心理学に関心がある研究者とともに「キャリアと文化心理学」研究会を開催した。これらを通して、離島におけるキャリア発達を理解するためには、個々人が美的に経験する「風土」(milieu)について考察する必要があることが明らかになった。 一方で、以上の研究では、風土と人間との関わり合いの中でも不可欠である身体についての議論が十分でない。今後、「身体-記号-環境」という枠組みでキャリア発達を理解するための理論を精緻化することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィールドワーク、理論研究ともに進展が見られたため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年6月には、国際対話的自己学会にて、キャリアと環境に関わる発表を行う。そこでの議論を踏まえて、記号論的文化心理学の視点から環境概念を精緻化していく。また、本年度は学校全体の特別活動の変化に焦点を当ててフィールドワークを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
離島でのフィールドワーク期間や、参加した学会が一部オンライン開催になるなどの関係で、旅費が予定より少なくなったため。次年度使用額については、今年度と同様のフィールドワーク遂行のために利用する予定である。
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