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2023 年度 実績報告書

二酸化炭素を原料とした糖の電気化学的合成

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ2117
配分区分基金
研究機関大阪大学

研究代表者

田畑 裕  大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
キーワード触媒化学 / 二酸化炭素 / CO2資源化 / ホルモース反応 / 生物工学 / バイオものづくり / バイオ生産 / コリネ型細菌
研究実績の概要

触媒化学的な糖の合成は、CO2還元を起点とするホルムアルデヒドの生成、そしてホルムアルデヒドを基質とした糖生成反応(ホルモース反応)の2つのプロセスの統合により達成される。しかし、後段プロセスのホルモース反応で従来用いられる塩基触媒では、系内の水酸化物イオンが引き起こす副反応のために糖生成の選択性が向上し得ないという課題があった。そこで本研究では、こうした副反応の抑制が可能な中性条件下でホルモース反応を進行させる触媒の探索を行った。その結果、金属オキソ酸塩触媒を用いることで、中性条件下において糖生成反応が進行することを明らかにし、また当初の狙い通り、当該反応における大幅な選択性の向上を達成した。これらの結果は論文にまとめられ、英国王立化学会が発行する国際学術雑誌「Chemical Science」に掲載された。さらに本研究成果の応用展開として、触媒反応により得られた糖を基質とするバイオ物質生産にも取り組んだ。コリネ型細菌をモデル微生物として種々の条件検討を行った結果、合成糖液に含まれる生育阻害因子を明らかにするとともに、当該微生物による合成糖液を基質とした乳酸の生成に成功した。これは、触媒化学的に合成された糖を基質としてバイオ物質生産が行われた初めての例である。また重要なことに、乳酸は解糖系の末端であるピルビン酸を経由して生成する。したがって野生株における乳酸の生成は、非天然な合成糖を基質として解糖系を経由したあらゆるバイオ物質生産が可能なことを意味する。本結果は、Wiley-VCHが発行する国際学術雑誌「ChemBioChem」に掲載された。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) 備考 (2件) 産業財産権 (2件)

  • [雑誌論文] Microbial Biomanufacturing Using Chemically Synthesized Non‐Natural Sugars as the Substrate2024

    • 著者名/発表者名
      Tabata Hiro、Nishijima Hiroaki、Yamada Yuki、Miyake Rika、Yamamoto Keisuke、Kato Souichiro、Nakanishi Shuji
    • 雑誌名

      ChemBioChem

      巻: 25 ページ: e202300760

    • DOI

      10.1002/cbic.202300760

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Construction of an autocatalytic reaction cycle in neutral medium for synthesis of life-sustaining sugars2023

    • 著者名/発表者名
      Tabata Hiro、Chikatani Genta、Nishijima Hiroaki、Harada Takashi、Miyake Rika、Kato Souichiro、Igarashi Kensuke、Mukouyama Yoshiharu、Shirai Soichi、Waki Minoru、Hase Yoko、Nakanishi Shuji
    • 雑誌名

      Chemical Science

      巻: 14 ページ: 13475~13484

    • DOI

      10.1039/D3SC03377E

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ホルモース反応ネットワークの構造理解を通した反応選択性の制御2024

    • 著者名/発表者名
      西島弘晃、近谷元大、石原菜々子、藤本泰成、田畑裕、長谷陽子、中西周次
    • 学会等名
      日本化学会第104春季年会(2024)
  • [学会発表] 自己触媒的な糖の合成反応における酸化アルミニウムの触媒効果2023

    • 著者名/発表者名
      近谷元大、田畑裕、西島弘晃、石原菜々子、向山義治、長谷陽子、中西周次
    • 学会等名
      第132回 触媒討論会
  • [学会発表] 糖の人工光合成系の設計におけるデータ駆動型アプローチと生成AI の活用2023

    • 著者名/発表者名
      石原菜々子、田畑裕、西島弘晃、近谷元大、向山義治、長谷陽子、向田志保、中西周次
    • 学会等名
      日本化学会秋季事業 第13回 CSJ化学フェスタ2023
  • [学会発表] Data-driven Exploration of Chemical Stabilizers of Life-sustaining Sugars2023

    • 著者名/発表者名
      石原菜々子、田畑裕、西島弘晃、近谷元大、向山義治、長谷陽子、向田志保、中西周次
    • 学会等名
      第46回ケモインフォマティクス討論会
  • [学会発表] ホルモース反応生成物である非天然型単糖類のGC/MS分析2023

    • 著者名/発表者名
      西島弘晃、田畑裕、近谷元大、石原菜々子、長谷陽子、三宅里佳、中西周次
    • 学会等名
      第49回BMSコンファレンス
  • [備考] “生物が食べられる糖”の高速化学合成

    • URL

      https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2023/20231108_2

  • [備考] 世界初!高速化学合成した糖によるバイオものづくり

    • URL

      https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2024/20240208_1

  • [産業財産権] 糖の製造方法2023

    • 発明者名
      中西周次、西島弘晃、近谷元大、田畑裕、長谷陽子
    • 権利者名
      中西周次、西島弘晃、近谷元大、田畑裕、長谷陽子
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2023-143251
  • [産業財産権] 有機化合物の製造方法2023

    • 発明者名
      中西周次、田畑裕、西島弘晃、山田祐暉
    • 権利者名
      中西周次、田畑裕、西島弘晃、山田祐暉
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2023-201140

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公開日: 2024-12-25  

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