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2022 年度 実績報告書

2Dパターン形成と3D形態形成をつなぐ「接着と引っ張り」による形態形成

研究課題

研究課題/領域番号 22J10710
配分区分補助金
研究機関大阪大学

研究代表者

松田 佳祐  大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2022-04-22 – 2024-03-31
キーワード外骨格生物 / カブトムシ / クワガタムシ / 脱皮 / 形態形成
研究実績の概要

甲虫において、蛹の角から成虫の角へと変形する過程はremodelingと呼ばれているが、この過程はあまり研究されておらず、特に上皮細胞シートが変形する力学メカニズムは、ほぼ分かっていなかった。
そこで本研究課題では、そのメカニズムを明らかにするため、まず成虫角の形成過程を凍結切片とmicroCTで観察した。その結果、蛹から成虫の角へと変形する際に、上皮細胞シートの表面積と内腔体積が減少していることが分かった。また、上皮細胞シートの腹側が蛹のクチクラと接着していることが示唆された。そこでさらに、ショウジョウバエにおいて上皮とクチクラの接着に関与しているdumpyを、蛹に対してRNAiを行うことで、ノックダウンする実験を行った。その結果、角の先端部分について、dumpyが接着に関与していることが明らかになった。
そこで、これらの要素を考慮した上で、さらに上皮細胞シートが滑らかになる「平滑化」を入れ込んだ力学シミュレーションを作成し、蛹の角の形状を入力とした際の変形をコンピュータ上で計算した。その結果、このシミュレーションにより蛹の角の丸みを帯びた形が成虫の角と似た多面体状の形へと変形することが分かった。
さらに、計算の妥当性を確認するため、オオクワガタの大顎の形状を3Dスキャナーで取得し、同じシミュレータでどのように変形するか確認したところ、成虫の大顎と似た形になることが分かった。
これらの結果はプレプリントとして既に投稿済みであり、投稿した論文は現在査読中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の目標である、remodelingにおいて変形に関与する要素を特定すること、さらにそれらを反映したシミュレータを作成し、カブトムシの頭の角のremodelingを再現することができており、おおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

現時点で、腹側の接着様式の詳細が未解明である。時系列観察から、先端部のような強固な接着ではなく、"ズレること"を許容するような緩やかな接着であると考えている。先端の接着の存在下では、腹側の接着も単純な接着とみなすことができるため、単純な固定として扱っている現在のシミュレータでも再現できていると思われる。
今後、dumpy変異体などをシミュレータで再現するため、この接着様式を明らかにし、シミュレータに反映させることを考えている。また、本研究で明らかになった、突起形状をつくるメカニズムの普遍性を調べるため、他の昆虫(特に甲虫以外)で同様の観察を行い、シミュレータを適用することを検討している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Mechanical models affecting beetle horn remodeling2023

    • 著者名/発表者名
      Matsuda Keisuke、Adachi Haruhiko、Gotoh Hiroki、Inoue Yasuhiro、Kondo Shigeru
    • 雑誌名

      bioRxiv

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1101/2023.01.16.524208

  • [学会発表] 「接着と収縮」によるカブトムシの角形成2022

    • 著者名/発表者名
      松田佳祐、足立晴彦、後藤寛貴、井上康博、近藤滋
    • 学会等名
      第45回 日本分子生物学会年会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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