研究課題/領域番号 |
22J12094
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
綱澤 広貴 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | 武家奉公人 / 大庄屋 / 津山藩 / 近衛家領 / 惣宿老 / 大名家臣団 |
研究実績の概要 |
本研究は、武家奉公人の役割に着目し、近世領主支配の特質や近世大名家臣団の再生産構造を分析するものである。研究初年度である本年度は、これまで研究を進めてきた津山藩文書を所蔵する津山郷土博物館のほか、長崎県対馬歴史研究センター、市立伊丹ミュージアムにおいて史料調査を実施した。研究実施状況は下記の通りである。 ①藩直属の武家奉公人について、昇進ルート・昇進システムを明らかにし、武家奉公人内部の階層性に着目し、多様な存在形態のあり様を分析した。また、地方支配機構において武家奉公人が期待された役割や職務の範囲を具体的に示した。 ②藩政機構の質的転換を明らかにしたうえで、ⅰ武家奉公人が家臣団へと取立てられる原則が支配機構への登用に限らないこと、ⅱ19世紀以降に家臣団が拡大していく要因、について分析した。この成果は日本史研究会近世史部会で研究報告を行った。 ③公家領の特質について、在郷町であった伊丹を対象に分析した。町役人からの建白書を素材に公家領における領主と町政を担った惣宿老との関係を考察した。その成果は「地域研究いたみ」52号(2023年3月)に史料紹介として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の1年目の課題に設定した内容については、史料調査・分析ともに順調に作業が進んでいる。さらに、本研究の課題のひとつである所領間における比較検討という点についても積極的な史料調査に加え、伊丹地域を対象とした分析を実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に続き、以降は特に以下の点について研究を進める予定である。 ①津山藩を対象として、武家奉公人と地域社会の関係を分析し、武家奉公人が家臣として多数登用されることが地域にもたらす意義と、土地所有や年貢徴収における矛盾の在り方を検討する。 ②幕府が広域的な支配を及ぼし難い、領国地域や畿内・関東以外の所領錯綜地域における個別所領を越えた問題への対応のあり方を地域秩序の維持という観点から検討する。 ③対馬藩・松江藩・松代藩・林田藩などを対象とした調査を実施する。特に、津山藩と類似する支配機構が整備された林田藩を分析し、当該地域が持つ特質を検討する。
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