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2022 年度 実績報告書

非定型リピート翻訳を標的とした前頭側頭葉変性症に対する新規治療法の探索

研究課題

研究課題/領域番号 22J12248
配分区分補助金
研究機関大阪大学

研究代表者

後藤 志帆  大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2022-04-22 – 2024-03-31
キーワード前頭側頭葉変性症 / FTLD / ALS
研究実績の概要

C9orf72遺伝子の非翻訳領域におけるGGGGCCリピート異常伸長変異は前頭側頭葉変性症(FTLD)と筋萎縮性側索硬化症(ALS)の共通の遺伝的原因の1つである。このリピート配列がRAN翻訳と呼ばれる非典型的な翻訳により病態に関与するとされているDPRタンパク質に翻訳される。代表者はRAN翻訳の詳細なメカニズムを解明することでC9- FTLD/ALSの新規治療法の開発につなげたいと考えている。
これまでに人工的リピート発現細胞モデルを用いてRAN翻訳の新規翻訳調整因子を同定した。当該因子のノックダウンはDPRタンパク質の1種であるpoly-GAの発現を減少させることを既に明らかにした。2022年度中は、より本来の病態に近い状態でのRAN翻訳への影響を検証するためC9- FTLD/ALS疾患由来iPS細胞から神経細胞の作出を完了した。現在この神経細胞における当該因子のDPR発現量への影響を様々な手法を用いて検証している。
またこれまでに得た研究成果について2つの国際学会(ISFTD2022, ADPD2023)と2つの国内学会(第41回日本認知症学会、第65回日本神経化学会大会)で発表した。現在この研究に関してまとめた論文の執筆中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は前頭側頭葉変性症及び筋萎縮性側索硬化症の原因の一つであるC9orf72遺伝子のGGGGCCリピート異常伸長変異における非典型的な翻訳(RAN翻訳)のメカニズムを明らかにすること目的にしている。RAN翻訳により翻訳されるDPRタンパクが毒性を持つとされているとされているため、RAN翻訳を調整しDPRの発現量を減らすことができれば、新規治療法の開発につながると考えている。代表者はこれまでに人工リピート発現細胞モデルを用いてRAN翻訳を調整する新規因子の同定に成功している。より本来の病態に近い条件での検討を行うため、研究計画通りC9orf72遺伝子変保持者由来のiPS細胞から神経細胞の作出に成功した。現在この細胞を用いた実験に取り掛かっている。
またこれまでに得た知見について2つの国内学会及び2つの国際学会でポスター発表を行った。現在本研究に関する論文も執筆中である。

今後の研究の推進方策

本研究で代表者が既に同定している新規RAN翻訳調整因子について、より実際の病態に近い状況下での働きを検証するため、C9-FTLD/ALS患者由来のiPS細胞から作出した神経細胞を用いて人工的リピート発現細胞モデルで得られた結果について検証を行う。より病態に近い状態でも人工的リピート発現細胞モデルを用いた研究と同様の結果が得られれば新規治療ターゲットとなる可能性がある。
さらに近年同定された他のリピート関連疾患においてもC9orf72遺伝子のGGGGCCリピート異常伸長変異で起こっているような非典型的な翻訳であるRAN翻訳が起こっているのかを検証する。他のリピート関連疾患でもRAN翻訳が起こっていた場合は、代表者が既に同定しているRAN翻訳の調整因子による影響を受けるかどうかについても検討することを計画している。
2023年度中に得られた研究成果をまとめて論文にする。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件)

  • [雑誌論文] Characteristics of very late-onset schizophrenia-like psychosis classified with the biomarkers for Alzheimer’s disease: a retrospective cross-sectional study2023

    • 著者名/発表者名
      Satake Yuto、Kanemoto Hideki、Taomoto Daiki、Suehiro Takashi、Koizumi Fuyuki、Sato Shunsuke、Wada Tamiki、Matsunaga Keiko、Shimosegawa Eku、Gotoh Shiho、Mori Kohji、Morihara Takashi、Yoshiyama Kenji、Ikeda Manabu
    • 雑誌名

      International Psychogeriatrics

      巻: 36 ページ: 64~77

    • DOI

      10.1017/S1041610222001132

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] RNA Dysmetabolism and Repeat-Associated Non-AUG Translation in Frontotemporal Lobar Degeneration/Amyotrophic Lateral Sclerosis due to C9orf72 Hexanucleotide Repeat Expansion2023

    • 著者名/発表者名
      Kohji Mori , Shiho Gotoh , Ryota Uozumi , Tesshin Miyamoto , Shoshin Akamine , Yuya Kawabe , Shinji Tagami , Manabu Ikeda
    • 雑誌名

      JMA Journal

      巻: 6 ページ: 9~15

    • DOI

      10.31662/jmaj.2022-0160

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Plasma NfL is associated with mild cognitive decline in patients with diabetes2022

    • 著者名/発表者名
      Marutani Noriko, Akamine Shoshin, Kanayama Daisuke, Gotoh Shiho et al.
    • 雑誌名

      Psychogeriatrics

      巻: 22 ページ: 353~359

    • DOI

      10.1111/psyg.12819

    • 査読あり
  • [学会発表] SUPPRESSION OF A NOVEL RAN TRANSLATION REGULATOR REDUCES POLY-GADPR EXPRESSION IN A CELLULAR MODEL OF C9ORF72 FTLD/ALS.2023

    • 著者名/発表者名
      Shiho Gotoh
    • 学会等名
      ADPD 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] PROXIMITY LABELLING PROTEOMICS IDENTIFIED A NOVEL MOLECULE IN THE C9ORF72 REPEAT RNA DEGRADATION PATHWAY IN FTLD/ALS.2023

    • 著者名/発表者名
      Uozumi R., Mori K., Gotoh S. et al
    • 学会等名
      ADPD 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] ARGININE-RICH DIPEPTIDE REPEAT PROTEINS INHIBIT THE ACTIVITY OF THE RNA EXOSOME COMPLEX AND PROMOTE THE ACCUMULATION OF C9ORF72 EXPANDED HEXANUCLEOTIDE REPEAT RNA2023

    • 著者名/発表者名
      Mori K., Kawabe Y., Yamashita T., Gotoh S. et al
    • 学会等名
      ADPD 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] Functional analysis of a potential RAN translation regulator in C9orf72 FTLD/ALS2022

    • 著者名/発表者名
      Shiho Gotoh
    • 学会等名
      ISFTD2022
    • 国際学会
  • [学会発表] C9orf72 FTLD/ALS関連RAN翻訳修飾因子の機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      後藤志帆
    • 学会等名
      第41回日 本認知症学会
  • [学会発表] Coordination of RAN translation in FTLD/ALS causing C9orf72-GGGGCC repeat.2022

    • 著者名/発表者名
      後藤志帆
    • 学会等名
      第65回日本神経化学会大会
  • [学会発表] siRNA-knockdown screening for potential RAN translation modulators in cellularmodels of C9orf72 FTLD/ALS2022

    • 著者名/発表者名
      Mori K, Gotoh S. et al
    • 学会等名
      ISFTD2022
    • 国際学会
  • [学会発表] C9orf72-FTLD/ALSにおけるGGGGCC リピートRNA分解促進因子の同定2022

    • 著者名/発表者名
      魚住亮太, 森康治, 後藤志帆, 他
    • 学会等名
      第41回日本認知症学会
  • [学会発表] 精神科認知症コホートにおけるNOTCH2NLC遺伝子GGCリピート長の解析2022

    • 著者名/発表者名
      宮本 哲愼, 森 康治, 魚住 亮太, 後藤 志帆, 他
    • 学会等名
      第41回日本認知症学会
  • [学会発表] アルツハイマー病バイオマーカー陽性のVLOSLPの特徴2022

    • 著者名/発表者名
      佐竹祐人、鐘本英輝、垰夲大喜、小泉冬木、末廣聖、佐藤俊介、和田民樹、吉山顕次、後藤志帆、他
    • 学会等名
      第41回日本認知症学会

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公開日: 2023-12-25  

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