研究課題/領域番号 |
22J12259
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中南 友里 大阪大学, 歯学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | シェーグレン症候群 / 炎症応答 / 小胞体ストレス応答 |
研究実績の概要 |
小胞体ストレス応答と炎症応答の連関機構を検討した。炎症応答誘導薬として大腸菌由来のLPS、あるいは小胞体ストレス誘導薬としてツニカマイシンを骨髄由来マクロファージに作用させ、変動する遺伝子発現を網羅的に探索した。その結果、LPSあるいはツニカマイシンにより発現が誘導される遺伝子群の中には、シェーグレン症候群との関連が報告されている遺伝子も含まれていた。さらに炎症応答と小胞体ストレス応答の増強機構の経時的な遺伝子変動をNf-κB経路関連遺伝子と小胞体ストレス関連遺伝子について調べた。その結果、ツニカマイシンによるNf-κB経路関連遺伝子の発現増加が確認できた。一方、LPSによる炎症応答は小胞体ストレス関連遺伝子の発現増加に影響を与えないことを確認した。このことから炎症応答の増強機構の一つの経路として、小胞体ストレス応答がNf-κB経路関連遺伝子に作用することが推察された。 炎症応答は組織によって作用が異なることが知られている。シェーグレン症候群との関連を検討するために、マクロファージ以外の細胞における反応を確認した。シェーグレン症候群の主症状であるドライアイやドライマウスに関連する組織として、涙腺、唾液腺が知られている。そこで、シェーグレン症候群様症状を呈するモデルマウスにおける涙腺、唾液腺の遺伝子発現及び組織学的解析を行った。さらにシェーグレン症候群様症状を呈するモデルマウスの眼周囲上皮において、特異的に表現型が発現する。この知見から、上皮細胞の培養及び解析に有用な細胞株がないため培養系を新たに立ち上げた。様々な方法を検討した結果、マウスの尻尾からケラチノサイトを単離し、コラーゲンでコーティングしたディッシュ上で培養する方法が安定的に培養できることを見出した。今後は小胞体ストレス応答と炎症応答を作用させた際の遺伝子発現変動の解析を進めていくことを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1,小胞体ストレス応答と炎症応答との連関機構が、Nf-κB経路関連遺伝子の発現増加に寄与していることが示唆された。さらにその発現変動がみられた遺伝子の中にシェーグレン症候群との関連が報告されている遺伝子が存在することを見出した。 2,マウスの唾液腺細胞、涙腺細胞、及び上皮細胞における、炎症と小胞体ストレスとの連関を検索した。
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今後の研究の推進方策 |
1.小胞体ストレス応答と炎症応答の連関に関わる分子機構をさらに詳細に解析を進める。 2.シェーグレン症候群様症状を呈するモデルマウスを用いた生体内での小胞体ストレスと炎症応答の関連を解析する。
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