研究課題
本研究では、伸縮配線と有機回路の研究開発に基づき、超柔軟なシート型光センサを開発した。伸縮配線は、Agマイクロ粒子を含む導電性ペーストに、Agナノワイヤを配合することで作製した。この配線は、Agナノワイヤの配合によって導電率が3.6倍向上し、75%ひずみの繰り返し伸縮に対する耐久性を得た。有機回路の開発では、有機トランジスタのデバイス構造開発および回路設計を行った。先述した伸縮配線を用いて実装した有機電圧増幅器は、75%ひずみ下においても安定した増幅特性を示した。次に、光センサへの有機回路実装に向けて、遮光構造を有する有機トランジスタを新たに開発した。この有機トランジスタは、光照射下においても特性が一定であり、安定したスイッチング動作が可能であった。また、シート型光センサの受光素子として、カーボンナノチューブ薄膜からなる熱検出型のフレキシブル光検出器を開発した。この光検出器は、厚さ5マイクロメートル以下の薄膜基板上に印刷形成することで、厚い基板(厚さ500マイクロメートル以上)上に形成された場合と比較し、出力電圧は約21倍、応答速度は15倍以上に向上した。最後に、有機トランジスタと光検出器からなるセルを集積化したアクティブマトリックスを構築し、可視や赤外の光によって撮像可能なシート型光センサを作製した。このシート型光センサは、機械的柔軟性を有するイメージングデバイスとして機能し、曲げ変形下においても光照射の連続撮像が可能であった。さらに、本デバイスは熱イメージングへの応用も可能であり、熱源、生体、液中化学物質の分析が可能であることが示された。一連の研究成果は、超柔軟な有機デバイスによるユビキタスな検査分析・モニタリング技術の構築を促進することが期待される。以上の研究成果に関して、国際学術論文誌3件および会議発表10件(国際学会4件含む)の対外発表を行った。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Advanced Materials
巻: 36 ページ: 2309864
10.1002/adma.202309864
巻: - ページ: 2304048
10.1002/adma.202304048
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2024/20240123_2