本研究の目的は、原発事故被災地における学校再編後の学校と地域の変容について明らかにすることであり、今年度は主に学校と教育行政の変容に関する調査を進めた。 まず、学校再編後の学校でのフィールド調査を進めた。その中で教員へのインタビュー調査も行なうとともに、地域と学校とが相互に関わる実践についても調査を実施している。これは再編後の学校側の教育内容の変容や子どもの変容のみならず学校と地域との関係性を探る上で重要なデータとなると考えている。 また、統廃合後の教育施策の変容を明らかにするための資料収集を実施した。対象地域が統廃合からの時間の経過が浅いこともあり、統廃合後の変化や政策の影響をすぐに明らかにすることには難しさがあるものの、財政等の状況や他地域事例との比較の視点などを取り入れることも視野に入れて研究を進めている。 加えて、質的なデータのみならず、学校再編に関連する全国データを用いた研究も行なって、本研究の事例の位置付けを探った。 研究成果については、8月に日本教育学会、10月に日本教育行政学会にて学会発表を行った。また、3月に第1回東日本大震災・原子力災害学術研究集会での発表も行ない、教育学研究の視点に加えて、災害復興の文脈における他分野からの知見も得ることにつながった。 学会発表に加えて、各学会への論文投稿も行ない、来年度以降の発表に努めている。本年度に取得できた資料データについても今後分析を進めて、来年度以降の成果発表に繋げていく予定である。
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