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2022 年度 実績報告書

多核セリウムクラスター錯体を光触媒とする新規有機合成反応の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22J21165
配分区分補助金
研究機関大阪大学

研究代表者

玉木 颯太  大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2022-04-22 – 2025-03-31
キーワード金属クラスター錯体 / カルボン酸 / 脱炭酸 / ラジカル / セリウム
研究実績の概要

本研究では、光触媒特性に優れたクラスター錯体の合成と、それらを用いた高活性かつ高選択的な新規有機合成反応の開発を目的としている。
本研究者は、これまで開発したセリウム1つとジルコニウム5つからなる新規6核金属クラスター光触媒が、従来のセリウムのみからなる同種金属錯体に比べて格段に触媒活性が高いことを見出し、カルボン酸の脱炭酸-酸素酸化反応において、セリウムの触媒量を従来の10分の1にまで低減することに成功した。さらに、この錯体に対して2当量のマンガン塩を添加することにより、反応系中で3つの金属からなる異種金属クラスターが形成され、カルボン酸の脱炭酸によって生じた炭素ラジカルとアゾ化合物の付加反応が効率よく進行することが明らかになった。現在、基質適用範囲の拡大を検討しており、特に天然カルボン酸の適用可能であるかを確認している。
また、アセトニトリル溶媒中でカルボン酸と鉄アルコキシドを反応させることにより3核鉄クラスター錯体が速やかに形成されることを明らかにし、この錯体がカルボン酸の脱炭酸により生じる炭素ラジカルと電子不足アルケンの付加反応が触媒的に進行することを見出した。本反応は、セリウムを含むクラスター光触媒では当量的にしか進行しない反応であり、金属の種類によって適用できる基質が大きく異なることが明らかになった。さらに、酸化されやすい官能基であるフェノール基を有するカルボン酸やアミン部位を保護したアミノ酸を本反応に適用することができるため、基質適用範囲を大きく拡大する計画である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

セリウムや鉄といった卑金属アルコキシドが、カルボン酸と少量の水の存在下で容易にクラスター形成を起こすことに着目し、これらの金属からなるクラスター錯体の合成とそれらの光触媒特性を見出している。すなわち、酸素架橋クラスター錯体の光触媒機能に着目し、カルボン酸の脱炭酸-官能基化反応の開発に成功しており、クラスター錯体を構成する金属の種類によって、使用できる基質の種類が大きく異なることを発見した。さらに、アミノ酸や糖カルボン酸などの天然カルボン酸を基質として用いることができる予備的結果が得られ始めていることから、本研究をさらに継続して進めることで、多種多様な有機合成反応の開発につなげられると考えている。

今後の研究の推進方策

これまで見出してきたセリウムとジルコニウムからなる異種金属クラスター錯体や鉄からなる同種金属クラスター錯体の異なる光触媒特性に着目し、金属クラスター錯体ならではの光触媒反応の開発に向けて研究を展開するとともに、鉄と他の金属からなる異種金属クラスター錯体の開発に挑戦する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Syntheses and Redox Properties of Carboxylate-Ligated Hexanuclear Ce(IV) Clusters and Their Photoinduced Homolysis of the Ce(IV)-Ligand Covalent Bond2022

    • 著者名/発表者名
      Tomomi Kawakami, Sota Tamaki, Satoru Shirase, Hayato, Tsurugi, Kazushi Mashima
    • 雑誌名

      Inorganic Chemistry

      巻: 61 ページ: 20461-20471

    • DOI

      10.1021/acs.inorgchem.2c03163

    • 査読あり

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公開日: 2023-12-25  

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