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2022 年度 実績報告書

新規多価カチオン種による元素埋め込み反応を利用した三次元パイ共役分子の迅速構築

研究課題

研究課題/領域番号 21J10947
配分区分補助金
研究機関大阪大学

研究代表者

西村 和敏  大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2021-04-28 – 2024-03-31
キーワードリンジカチオン種 / ベンゾホスホール
研究実績の概要

「新規多価カチオン種による元素埋め込み反応を利用した三次元パイ共役分子の迅速構築」を目指し、今年度は、リンジカチオン等価体とアリールアルキンとのC-P/C-C連続結合形成反応を利用したベンゾホスホール誘導体の合成法の開発を試みた。我々はこれまでにリンジカチオン等価体と単純ビアリールのC-P結合連続形成反応によるジベンゾホスホールの一段階合成を達成している。しかし、この手法はインドールやチオフェンなどの電子豊富なヘテロ芳香環部位を必要とする制限があった。そこで本研究では、アルキン部位を反応の足掛かりとするリンジカチオン等価体とアリールアルキンのC-P/C-C連続結合形成反応を利用することで、電子豊富なヘテロ環に依存しない縮合含リン化合物の合成を目指した。その結果、ルチジン存在下、DCE中でアリールアルキンに対して、リンジカチオン等価体を作用することで縮合含リン化合物を効率的に構築できることを見出した。また、電子求引性置換基であるホスフィンオキシドの導入は、求核種の反応性を著しく低下させるために、三次元パイ共役分子であるヘリセン骨格を形成するうえで重要となる二重環化反応が困難であったが、アリール上にCF3基を有するホスフィン酸を用いることで、反応性の高いリンジカチオン等価体が発生可能であることを見出し、このリンジカチオン種を利用することで二重環化反応も達成した。また、これらの成果を国際誌(Org. Lett. 2023, 25, 1503-1508. )に投稿した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画の通り、リンジカチオン種とアルキンとの反応の開発、並びに、これまでに見出していたリンジカチオン等価体よりもさらに反応性の高いリンジカチオン等価体を発見し、それを利用した二重環化反応を達成し、国際誌への論文投稿に至ったため。

今後の研究の推進方策

種々のマルチカチオン等価体を利用した三次元π共役化合物の効率的合成法の開発を行う。三次元π共役骨格を構築するうえで、三方向以上へ新たな結合を形成することができるマルチカチオン種は、重要な化学種になると期待される。申請者は既に、ジメチルホスファイトにTf2Oを作用させることでリントリカチオン種として働くことを予備的に見出している。これをトリアリール化合物に適用することで、三連続炭素-リン結合形成による含リントリプチセンの合成を試みる。一方で、テトラアルコキシメタンを炭素テトラカチオンとする四連続炭素-炭素結合形成を介したビアリールからのスピロビフルオレン合成を目指す。さらに、適切な光学活性酸触媒を用いることで不斉合成へと展開する。本研究により、容易に入手可能な芳香族化合物と多価カチオン等価体から一段階で三次元π共役化合物を構築することが可能となる。従って、構造/物性相関の研究を大きく加速し、真に有用な特性を持つ有機材料の創成を実現できる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] One-Step Synthesis of Benzophosphole Derivatives from Arylalkynes by Phosphenium-Dication-Mediated Sequential C-P/C-C Bond Forming Reaction2023

    • 著者名/発表者名
      Nishimura Kazutoshi、Xu Shibo、Nishii Yuji、Hirano Koji
    • 雑誌名

      Organic Letters

      巻: 25 ページ: 1503~1508

    • DOI

      10.1021/acs.orglett.3c00263

  • [学会発表] ホスフェニウムジカチオン等価体とアリールアルキンの炭素ーリン/炭素ー炭素連続結合形成反応を利用したベンゾホスホール誘導体の合成2023

    • 著者名/発表者名
      西村和敏
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会 (2023)

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公開日: 2023-12-25  

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