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2022 年度 実績報告書

ライブイメージングとメタボロミクス解析の統合による腸腫瘍形成機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19J00973
配分区分補助金
研究機関神戸大学

研究代表者

牟田 優  神戸大学, 医学研究科, 特別研究員(CPD)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2024-03-31
キーワードライブイメージング / 活性動態 / 鋸歯状病変
研究実績の概要

大腸癌をはじめとする悪性腫瘍においては糖代謝や脂質代謝といった様々な代謝経路が発癌過程で変化することが知られている。本研究では腸腫瘍形成における代謝ネットワークの変化を明らかにし、大腸癌の新規治療戦略の確立の一助となる事を目的としている。本年度は腸上皮特異的にAtypical PKCを欠損したマウスでは鋸歯状病変を発生するという受入研究機関での先行研究を発展的に基づき、鋸歯状病変において変化している経路を同定することを目指した。このために、鋸歯状病変の網羅的遺伝子発現解析を行い、正常腸上皮と比較して鋸歯状病変ではコレステロール代謝に関与する遺伝子群が最も大きく変化している事が明らかとなった。特にコレステロール生合成に関与する遺伝子群の発現変化が認められたことから、鋸歯状病変における脂質生合成を定量的に評価するために、重水素を標識とした代謝追跡実験をAtypical PKCを欠損したマウスおよび正常マウスに対して施行した。腸上皮特異的にAtypical PKCを欠損したマウスから発生した鋸歯状病変では有意にコレステロール合成が亢進していた一方、脂肪酸生合成には明らかな変化は認められなかった。さらに、腫瘍部だけでなく、非腫瘍部においても正常上皮よりコレステロールの生合成が上昇していることが明らかとなった。以上のことから、コレステロール生合成による代謝変化はatypical PKCを欠損した腸上皮で普遍的に認められる変化であると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画に基づき、大腸腫瘍における代謝経路の変化を解析を行った。大腸腫瘍の一種である鋸歯状腫瘍の疾患モデルにおいて特徴的に変化している代謝経路を網羅的遺伝子解析により同定し、代謝追跡実験により定量的に解析することができた。以上より、本研究課題の進捗状況は概ね順調に推移していると考えられる

今後の研究の推進方策

今後は鋸歯状病変において認められた脂質代謝変化の分子生物学的機構を明らかにするために、鋸歯状病変から樹立したオルガのイド等を用いて生化学的解析を進めたい。また、脂質代謝変化が腫瘍増殖に与える影響をマウスモデルやオルガノイド、培養細胞など異なる実験系を用いて評価することで、治療標的としての可能性を検討したい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Hyaluronan driven by epithelial aPKC deficiency remodels the microenvironment and creates a vulnerability in mesenchymal colorectal cancer2023

    • 著者名/発表者名
      Martinez-Ordonez A, Duran A, Ruiz-Martinez M, Cid-Diaz T, Zhang X, Han Q, Kinoshita H, Muta Y, Linares JF, Kasashima H, Nakanishi Y, Omar M, Nishimura S, Avila L, Yashiro M, Maeda K, Pannellini T, Pigazzi A, Inghirami G, Marchionni L, Sigal D, Diaz-Meco MT, Moscat J.
    • 雑誌名

      Cancer Cell

      巻: 41 ページ: 252-271

    • DOI

      10.1016/j.ccell.2022.11.016.

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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