研究課題
本研究はヒストン修飾因子であるSETDB1が膵癌の維持・進行において果たす機能的役割を明らかにするため、Dual-recombinaseシステムによる膵癌モデルマウスと患者の膵癌組織から樹立した膵癌オルガノイドを用いてSETDB1がヒト膵癌の治療標的となりえるか検証している。まず、Flp/frtシステムで膵癌を形成し、タモキシフェン投与によりCre/loxpシステムでSetdb1をノックアウトできるPdx1-Flp; FSF-KrasG12D; Trp53 frt/+; FSF-Rosa26CreERT2; Setdb1flox/floxマウスから膵癌細胞株、オルガノイドを作成した。樹立した細胞株を用いて皮下移植モデルマウスを作成後にタモキシフェンを投与して腫瘍の大きさを評価したが、腫瘍抑制効果は乏しかった。腫瘍においてp53発現低下を認めたため、Setdb1ノックアウトによるアポトーシス、腫瘍抑制効果が乏しかった可能性が考えられた。今後はマウス腫瘍細胞でSetdb1をノックアウトした際の腫瘍周囲環境、特に免疫細胞に与える影響の評価を検討している。また、膵癌モデルマウスでの検討がヒト膵癌においても同様の結果を示すか検証するために、ヒト膵がん患者の膵がん組織から樹立した複数の膵がんオルガノイドを使用して、Crisper/Cas9によるSETDB1ノックアウト用のレンチウィルスとSetdb1阻害剤でSetdb1のノックアウトまたは阻害した際の表現型を評価した。膵癌においてはp53の欠損、変異頻度が高いことから樹立したオルガノイドの遺伝子シークエンス解析を今後行い、Setdb1阻害の効果とp53遺伝子変異の有無の相関関係について検討を行う予定である。
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