研究課題/領域番号 |
22KJ2249
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤倉 浩平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | 宇宙論的相転移 / 臨界現象 / 場の理論 / 位相欠陥 / 重力波 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度から進めていた、複合Higgs模型で起き得るカイラル対称性の自発的対称性の破れに伴う宇宙論的相転移のダイナミクスを、くりこみ群の解析によって明らかにしました。いくつかの複合Higgs模型においては、ユニバーサリティの議論から宇宙論的一次相転移が起きることが示唆されました。また、複合Higgs模型で導入される新しい強結合のゲージ理論で起きると期待される、閉じ込め・非閉じ込めの相転移についても議論しました。ゲージ場の自由度がゲージ場と結合している物質の自由度に比べて非常に大きい極限では、閉じ込め・非閉じ込め相転移が一次相転移となることが示唆されました。以上の結果を論文という形で出版いたしました。また、当初計画していた国際・国内会議の口頭発表も行い、有意義な議論をすることができました。
理論に近似的な共形対称性が存在し、それが自発的に破れると、非常に強い一次相転移が起きることが知られています。このとき、一次相転移の臨界温度近傍では、相関長が短く、ユニバーサリティの議論では解析できないと考えられています。そこで、理論に存在する軽い自由度に注目し、有効理論を用いることで相転移の解析をすることができました。他にも、宇宙論的相転移の応用として、宇宙論的相転移後に生成される宇宙ひものダイナミクスについても明らかにすることができました。この研究についてもすでに論文という形で発表されており、国際・国内会議の発表も行いました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画の内容を論文にすることができた上、位相欠陥のダイナミクスや、Randall-Sundrumの模型で起きる相転移についての論文など、元々計画されていないが、研究計画に密接に関連する新しい研究を遂行することができたので、研究計画を大いに上回る研究の進展があったと判断できます。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画には記載されていなかったが、本研究計画に密接に関連する研究を行っている。その複数の仕事を最終年度内にまとめ、論文という形で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であった書籍の値段が変化したため、次年度使用額が生じた。来年度に調整して、該当書籍を購入する予定である。
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