研究課題/領域番号 |
22J00592
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
桑田 威 神戸大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
|
キーワード | 潰瘍性大腸炎 / 炎症性腸疾患 / 自己抗体 / インテグリン |
研究実績の概要 |
潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis: UC)は、世界的に増加傾向にある難治性疾患で、病態解明を目指して多くの研究がなされてきたが、確固たる病因は不明である。本研究では下記の検討により、抗インテグリンαvβ6自己抗体のUC診断における有用性検討と、UCの病態メカニズムを解明し、新規治療薬開発へと繋げることを目的とする。 ① UC診療における抗インテグリンαvβ6自己抗体測定の有用性の検討、② 抗インテグリンαvβ6自己抗体の病原性の検証と病態解明、③ 抗インテグリンαvβ6自己抗体が治療標的となる可能性の検証 ① UC診療における抗インテグリンαvβ6自己抗体測定の有用性の検討:難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班にご協力いただき、症例集積を行なった。 ② 抗インテグリンαVβ6自己抗体の病原性の検証と病態解明:インテグリンαvβ6をアジュバントとともに免疫することにより、抗インテグリンαvβ6抗体が産生されることを確認した。しかし、同マウスにおいてUCと同様の大腸病変は誘導されなかった。 ③ 抗インテグリンαvβ6自己抗体が治療標的となる可能性の検証:申請者らは、UC患者の抗インテグリンαvβ6自己抗体がインテグリンαvβ6とフィブロネクチンとの結合阻害作用があることを見出した。αvβ6にはフィブロネクチン以外にも複数のリガンドがあることが知られており、各リガンドとの結合に対してどのように作用するか検討した。その結果、TGF-βを活性化させるLAP(latency associated peptide)との結合阻害作用も認められた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
① UC診療における抗インテグリンαvβ6自己抗体測定の有用性の検討:難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班にご協力いただき、症例集積を行なった。 ② 抗インテグリンαVβ6自己抗体の病原性の検証と病態解明:インテグリンαvβ6をアジュバントとともに免疫することにより、抗インテグリンαvβ6抗体が産生されることを確認した。しかし、同マウスにおいてUCと同様の大腸病変は誘導されなかった。 ③ 抗インテグリンαvβ6自己抗体が治療標的となる可能性の検証:申請者らは、UC患者の抗インテグリンαvβ6自己抗体がインテグリンαvβ6とフィブロネクチンとの結合阻害作用があることを見出した。αvβ6にはフィブロネクチン以外にも複数のリガンドがあることが知られており、各リガンドとの結合に対してどのように作用するか検討した。その結果、TGF-βを活性化させるLAP(latency associated peptide)との結合阻害作用も認められた。
②において、インテグリンαvβ6をアジュバントとともに免疫したマウスで抗インテグリンαvβ6抗体が産生されることを確認できたが、UCと同様の大腸病変は誘導されなかったものの、その他については概ね当初の予定通り進展できている。
|
今後の研究の推進方策 |
① UC診療における抗インテグリンαVβ6自己抗体測定の有用性の検討: 2023年度中には集積を終了し、UC診断における抗αvβ6抗体測定の有用性の検討、疾患活動性と抗体価の相関を解析する予定である。 ② 抗インテグリンαVβ6自己抗体の病原性の検証と病態解明:インテグリンαvβ6をアジュバントとともに免疫することにより、抗インテグリンαvβ6抗体が産生されることを確認した。しかし、同マウスにおいてUCと同様の大腸病変は誘導されなかった。マウスモデル確立のため、条件検討を行う予定である。 ③ 抗インテグリンαvβ6自己抗体が治療標的となる可能性の検証:UC患者の抗インテグリンαvβ6自己抗体がインテグリンαvβ6とフィブロネクチンとの結合阻害作用があることを見出している。αvβ6にはフィブロネクチン以外にも複数のリガンドがあることが知られており、各リガンドとの結合に対してどのように作用するか検討した。その結果、TGF-βを活性化させるLAP(latency associated peptide)との結合阻害作用も認められた。これらの作用とUCの病態との関連を解析し、治療標的について検討する。
|