研究課題/領域番号 |
22KJ2266
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小林 宜弘 神戸大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | 昆虫 / 定位 / ランドマーク / 報酬系 / オクトパミン / 偏光 |
研究実績の概要 |
動物は様々な手掛かり(cue)に基づいたナビゲーションを行う。複数のcue を自身が置かれた環境と状況に応じて柔軟に使い分ける事例が報告されている一方、その複雑な情報処理メカニズムについては未解明な点が多い。そこで本研究では、飛行中のセイヨウミツバチの映像やトルクから飛行方向を推測し、それによってミツバチに与える偏光刺激とランドマーク刺激をフィードバック制御するVRフライトシミュレータを構築し、目的地に到達するためにこれらのcueをどのように取捨選択するのか、そのアルゴリズムの解明を目的としている。 今年度は、昨年度までに構築したトルク計の出力に基づいてミツバチの飛行方向を計測し、ミツバチの正面に配置したPCモニターに表示するランドマークの位置を飛行方向に合わせてフィードバック制御するVR装置を用いて、種々のランドマーク刺激を用いた視覚定位学習の解析を行った。これまでに行ってきた異なる色の組み合わせの他に、同じ図形で配置が異なる組み合わせや、向きの異なる縞模様の組み合わせを用いて、定位学習の成立を検証したところ、図形の配置が異なる組み合わせでは学習が成立した一方で、縞模様の向きが右上がりと左上がりの組み合わせでは学習が成立しないこと明らかとなった。これらの組み合わせはいずれも、自由飛行条件では識別できることが明らかとなっていることから、フライトシミュレータを用いた実験系では視覚パターンの識別能に何らかの制約がかかることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フライトシミュレータを用いたランドマーク刺激に対する定位学習のパラダイムについて、適切なランドマーク刺激やその提示条件の検討に想定以上に時間がかかっている。また、昨年度の薬理学的実験から示唆された、脳内のオクトパミンシグナル伝達系の定位学習への関与についてより詳細に検証するため、阻害剤の局所投与や異なるシグナル伝達系に関わる薬剤を用いた実験が必要であると考え、現在、引き続きこれらの解析を遂行中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きランドマークに対する定位学習について、現在遂行中である刺激に関する条件の検討と薬理学的実験を行い、フライトシミュレータにおけるランドマークに基づく定位学習の性質とその神経メカニズムについて明らかにすることを計画している。また同時に、VRフライトシミュレータを偏光とランドマークを対提示できるように改良し、複数のcueを利用する定位行動の解析を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
一時的に日本学術振興会特別研究員採用中断したため、研究期間を延長し、薬理学的実験やVRフライトシミュレータの改良用に支出を予定していた物品費および学会発表や論文投稿費を次年度使用することとした。
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