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2022 年度 実績報告書

理論収率を飛躍的に革新する代謝経路の分断と再構築

研究課題

研究課題/領域番号 22J21878
配分区分補助金
研究機関神戸大学

研究代表者

野中 大輔  神戸大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2022-04-22 – 2025-03-31
キーワードPMPE / 1,2-プロパンジオール / レスベラトロール / 代謝経路の分断
研究実績の概要

今年度は1,2-プロパンジオールとレスベラトロールの各目的生産物質に応じて代謝経路を分断する大腸菌株の構築を行った。1,2-プロパンジオール生産株では前駆体であるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)を、レスベラトロール生産株ではホスホエノールピルビン酸(PEP)を蓄積させるよう代謝経路の分断をおこなうことで各生産株の構築に成功した。これらの株にWeimberg経路やDahms経路といった外来微生物保有のキシロース資化経路や目的生産物質の生合成経路に関わる遺伝子を導入することで、グルコースとキシロースの混合糖での生育及び1,2-プロパンジオールとレスベラトロールの生産を確認した。
1,2-プロパンジオール生産では更なる生産量増加のために1,2-プロパンジオール生合成経路に関わる各種遺伝子を高コピープラスミドにより過剰発現させた。しかしながら、生産量の増加にはつながらなかったため、酵素の発現量が律速ではないことが示唆された。
レスベラトロール生産では前駆体の一つであるマロニルCoAの供給量の増加が生産量増加に寄与すると考えられているため、本研究でもマロニルCoA供給の向上に取り組んだ。マロニルCoA合成に関わる遺伝子の過剰発現によるマロニルCoA合成強化及び阻害剤添加によるマロニルCoAの消費抑制を代謝経路分断株でおこなった。その結果いずれにおいてもレスベラトロールの生産量増加が確認され、本研究で用いている株においてもマロニルCoA供給量の増加がレスベラトロールの生産量増加につながることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度はデザインした代謝経路分断株の構築及び代謝経路分断株を用いて目的化合物の生産に成功した。また、どちらの生産物質においても生産量増加に向けた代謝改変の段階に入っており、当初の計画とおおむね一致していることからおおむね順調であると判断した。

今後の研究の推進方策

代謝経路分断株それぞれについて13C-グルコースを用いた代謝解析をおこなうことで供給した糖が狙い通りに分配されているかを確認する。1,2-プロパンジオール生産では副産物質の合成経路の破壊を行い、より効率よく糖を利用する株の構築を目指す。また、1,2-プロパンジオール合成に必要な補酵素のバランスが生産量増加に寄与する可能性を考えており、その検討も行う予定である。レスベラトロールについては、今年度においてマロニルCoA供給が重要であることが確認できたため、マロニルCoA供給を増加させる手法の開発を行う予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Caffeic acid production from glucose using metabolically engineered Escherichia coli2023

    • 著者名/発表者名
      Sakae Kosuke、Nonaka Daisuke、Kishida Mayumi、Hirata Yuuki、Fujiwara Ryosuke、Kondo Akihiko、Noda Shuhei、Tanaka Tsutomu
    • 雑誌名

      Enzyme and Microbial Technology

      巻: 164 ページ: 110193~110193

    • DOI

      10.1016/j.enzmictec.2023.110193

    • 査読あり
  • [雑誌論文] G6P-capturing molecules in the periplasm of Escherichia coli accelerate the shikimate pathway2022

    • 著者名/発表者名
      Fujiwara Ryosuke、Nakano Mariko、Hirata Yuuki、Otomo Chisako、Nonaka Daisuke、Kawada Sakiya、Nakazawa Hikaru、Umetsu Mitsuo、Shirai Tomokazu、Noda Shuhei、Tanaka Tsutomu、Kondo Akihiko
    • 雑誌名

      Metabolic Engineering

      巻: 72 ページ: 68~81

    • DOI

      10.1016/j.ymben.2022.03.002

    • 査読あり
  • [学会発表] 有用化学物質の高収率生産に向けた代謝経路の分断2023

    • 著者名/発表者名
      野中大輔、藤原良介、近藤昭彦、田中勉
    • 学会等名
      化学工学会 第88年会
  • [学会発表] 炭素源の有効利用を指向した目的別代謝改変技術の開発2022

    • 著者名/発表者名
      野中大輔、藤原良介、近藤昭彦、田中勉
    • 学会等名
      酵素工学研究会 第87回講演会
  • [学会発表] Efficient sugar utilization strategy for high-yield chemical production in engineered E.coli2022

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Nonaka、Ryosuke Fujiwara、Akihiko Kondo,Tsutomu Tanaka
    • 学会等名
      Active Enzyme Molecule 2022
    • 国際学会
  • [学会発表] 代謝経路を切り分けることによる高収率生産技術の開発2022

    • 著者名/発表者名
      野中大輔、藤原良介、近藤昭彦、田中勉
    • 学会等名
      化学工学会 第53回秋季大会
  • [学会発表] Separating metabolic pathways for efficient valuable chemical productions in Escherichia coli2022

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Nonaka、Ryosuke Fujiwara、Akihiko Kondo,Tsutomu Tanaka
    • 学会等名
      The 27th Young Asian Biological Engineers’ Community
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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