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2022 年度 実績報告書

偏光変調検出イメージセンサによる高感度リアルタイム高周波撮像装置の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22J22358
配分区分補助金
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

岡田 竜馬  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2022-04-22 – 2025-03-31
キーワード偏光CMOSイメージセンサ / 電気光学効果 / 高周波電界イメージング / 複屈折率計測
研究実績の概要

本研究は,独自の偏光イメージング技術に立脚して高感度リアルタイム高周波撮像装置を構築し,サブミリ波からTHz波電界分布を可視化することを目的としている.これに対し,本年度は,偏光イメージセンサの高感度化,高機能化,光ヘテロダイン法によるイメージングシステムの構築を行い,THz波撮像に向けた動作確認としてミリ波電界の可視化を行った.
偏光イメージセンサの画素上偏光子ピッチの最適化を行い,画素上偏光子を1層構造から2層構造にすることによって,電界イメージングの際に利用される波長780 nm帯における消光比を従来の1.6から3.3に向上させた.この消光比の向上によって,画素上理想偏光子による感度限界の5割程度を達成し,微弱偏光変化に対する感度が2倍以上に改善された.また,光ヘテロダイン検波のための局部発振変調光の生成の検討を行った.波長785 nmのレーザー光源を光変調器によって強度変調し,その変調光を半導体光増幅器で増幅して,イメージングシステムに入射した.光変調器と半導体光増幅器を組み合わせ安定性が高く高光強度な局部発振変調光の生成に成功した.この変調光生成システムと高感度偏光イメージングシステムを組み合わせ28 GHz電界を0.25 FPSで可視化を実証した.また,THz波イメージングに向け,強度変調器に加えて位相変調器を組み合わせて光コム生成手法を用いることで285 GHzの局部発振変調光の生成を行い,変調動作の確認を行った.
今年度は,得られた研究成果に基づいて,偏光イメージセンサの高感度化に関する論文発表1件と国内3件,国際2件の学会発表を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は,当初の計画通り,偏光イメージセンサの高感度化,高機能化を行った.画素上偏光子の偏光子ピッチの変更,偏光子の多層化を行ったテストチップを作製し,比較検討を行った.その結果,偏光子ピッチのLine/Spaceが0.7/0.7 μmの場合に波長780nmにおいて最大の消光比が得られた.さらに偏光子をCMOS金属配線層の複数レイヤを用いて作製することによって従来の2倍程度の飛躍的な消光比向上を達成した.高機能化に関しては,センサ内部で検波を行う回路の試作を行い,検討を行っている.
また,提案する高感度偏光イメージングシステムでは高い強度の変調光が必要となるが,光強度変調器と半導体光増幅器を用いたシステムによって十分な光強度のミリ波帯変調光を生成した.このシステムでは50 GHz程度までの変調光が可能である.ただし,サブミリ波~THz波帯では現状のシステムをそのまま適応することができない.そのため,強度変調器に加えて位相変調器を組み合わせて光コム生成手法を用いることで285 GHzの局部発振変調光の生成を行い,変調動作の確認を行った.
作製した偏光イメージセンサとミリ波帯に対応した変調光作製システムを組み合わせることによって28 GHzでの光ヘテロダイン法による電界イメージングに成功しており,当初の計画通りに比較的低い周波数帯での基本的な動作確認ができている.

今後の研究の推進方策

現在までの進捗状況で述べた通り,偏光イメージセンサに関して従来と比較して飛躍的な消光比の向上が見られたが,現状の消光比では計測感度限界の5割程度である.そのため,さらなる消光比の改善が求められる.消光比の改善のために偏光子構造の改善や画素容量の最適化を行う.また,高機能化に関してセンサ内で検波を行う回路の動作確認,検討を引き続き行う.
変調光生成システムについては,光コム生成手法では,不要な周波数成分も発生してしまい,光ヘテロダイン法によるイメージングにおいて効率が下がってしまうため感度低下が懸念される.そのため,不要な周波数成分を低減させ,必要な周波数成分のみを光増幅しイメージングシステムに入射するシステムの構築を行う.また,THz波帯の高周波波源では発振周波数が安定していない波源が多く,本研究を実環境での実験に利用する際にはそのような波源にも対応させる必要がある.そのため,入射電界周波数に追従するような変調光生成システムの開発を行う.
また,本年度は偏光イメージセンサの高感度化と変調光生成システムの開発がメインとなってしまい,リアルタイムでのデジタル信号処理を行うイメージングシステムの開発が遅れてしまっているため,システム開発を同時に進める.
さらに,THz波帯の電界分布撮像に成功した際には,単純な電界画像の取得だけでなく,定量的な電界分布の評価のために従来手法との比較検討を行う.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Improvement of on-pixel polarizer with 0.35 μm CMOS process for electro-optic imaging systems2023

    • 著者名/発表者名
      Okada Ryoma、Sasagawa Kiyotaka、Mizuno Maya、Takehara Hironari、Haruta Makito、Tashiro Hiroyuki、Ohta Jun
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Applied Physics

      巻: 62 ページ: SC1052~SC1052

    • DOI

      10.35848/1347-4065/acb0da

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 高感度偏光イメージングシステムを用いたミリ波電界イメージング2023

    • 著者名/発表者名
      岡田 竜馬, 笹川 清隆, 水野 麻弥, 春田 牧人, 竹原 浩成, 田代 洋行, 太田 淳
    • 学会等名
      2023年電子情報通信学会総合大会
  • [学会発表] Electro-optic imaging system using a CMOS image sensor with a dual-layer on-pixel polarizer2022

    • 著者名/発表者名
      Ryoma Okada, Kiyotaka Sasagawa, Maya Mizuno, Makito Haruta, Hironari Takehara, Hiroyuki Tashiro, Jun Ohta
    • 学会等名
      International Conference on Solid State Devices and Materials(SSDM2022)
    • 国際学会
  • [学会発表] 2層オンピクセル偏光子搭載CMOSイメージセンサを用いた高感度電界イメージング2022

    • 著者名/発表者名
      岡田 竜馬, 笹川 清隆, 水野 麻弥, 春田 牧人, 竹原 浩成, 田代 洋行, 太田 淳
    • 学会等名
      映像情報メディア学会2022年年次大会
  • [学会発表] 高周波電界撮像に向けた高感度偏光 CMOS イメージセンサ2022

    • 著者名/発表者名
      岡田 竜馬
    • 学会等名
      d.lab-VDECデザイナーズフォーラム2022
  • [学会発表] A polarization CMOS image sensor with on-pixel polarizer optimized for microwave electric-field imaging2022

    • 著者名/発表者名
      Ryoma Okada, Kiyotaka Sasagawa, Maya Mizuno, Makito Haruta, Hironari Takehara, Hiroyuki Tashiro, Jun Ohta
    • 学会等名
      5th International Workshop on Image Sensors and Imaging Systems (IWISS2022)
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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