研究課題/領域番号 |
21J01604
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
坂本 健太郎 鳥取大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 人工ウイルス / 自己複製 / RNA結合ドメイン / 人工ウイルスキャプシド |
研究実績の概要 |
本研究では、自己複製能を有する人工ウイルスの創製に向けた各種構成要素の作製に取り組んでいる。前年度は、細胞内に自己をコードするようなmRNAを送達できる人工ウイルスキャプシドを構成するlambdaN-beta-annulus-infectious peptideの合成に取り組んだ。ここで、lambdaNはBoxBというRNA配列と相互作用するペプチド、beta-annulusは水中で自己集合し人工ウイルスキャプシドを形成するペプチド、infectious peptideは細胞への感染に関与することが期待されるペプチドである。より良いinfectious peptideを得るために6種類のinfectious peptideを選出し、それぞれのlambdaN-beta-annulus-infectious peptideの合成に取り組んだ。Native chemical ligation, 無細胞タンパク質発現系では芳しい結果が得られなかったが、大腸菌でのタンパク質発現を通して目的のペプチドを得ることに成功した。これと並行して、lambdaN-beta-annulus-infectious peptideによる細胞内へのmRNA送達能を評価するためのreporter mRNAの設計及び作成にも取り組んだ。EGFPの上流にT7 promoterおよびinternal ribosomal entry site (IRES) を、下流にスペーサーを介してBoxBを有するように転写されるよう設計したプラスミドからin vitro transcription, ポリAテール付加によってreporter mRNAを得ることに成功した。これをHepG2細胞にトランスフェクションするとEGFPの発現が確認されたことから、設計したmRNAがレポーターとして機能することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目にinfectious peptideのスクリーニングを終える予定であったが、ペプチドの合成に手間取っているため進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はlambdaN-b-annulus-infectious peptideが形成する人工ウイルスキャプシドへのmRNA内包の評価、内包したreporter mRNAの細胞内送達によるreporter mRNA翻訳の確認、それを用いた最も効率の良いinfectious peptideの選定に取り組む。それに続いて、lambdaN-b-annulus-infectious peptideをコードするプラスミドの作製に取り組み、それの細胞内発現が何を引き起こすのかを評価する。 最終的にはlambdaN-b-annulus-infectious peptide自身をコードするmRNAをlambdaN-b-annulus-infectious peptideが形成する人工ウイルスキャプシドに内包させ、自身の細胞内複製を可能にする。
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