研究課題/領域番号 |
21J21251
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
古川 寛人 鳥取大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | エンベロープウイルスレプリカ / β-Annulus / ワクチン |
研究実績の概要 |
今年度の研究では、従来のワクチン材料では困難であった、抗原とアジュバントを自在にかつ均一に搭載させた新規ワクチン材料の開発を検討した。具体的には、乳がん抗原ペプチドCH401ペプチドと脂質アジュバントα-GalCerを提示したエンベロープウイルスレプリカを創製し、モデルマウスへの投与及び免疫評価を行った。Fmoc固相法により合成したβ-Annulus-EE-GGGCGペプチドにBismaleimide-PEG12リンカーを介してCys-CH401ペプチドを連結することでβ-Annulus-EE-CH401ペプチドを合成した。β-Annulus-EE-CH401の自己集合挙動をDLS・ζ電位・TEMにより評価した結果、表面がアニオン性で74±26 nmの人工ウイルスキャプシドの形成が確認された。この球状集合体にα-GalCer/DOTAP/DOPC混合脂質を複合化した結果、粒径が97±28 nmに増大し、ζ電位がカチオン性にシフトした。またTEMにより、100 nm程度の球状粒子表面にCH401ペプチドと思われる5 nm程度のドット状構造が多数観察された。以上の結果より、抗原/脂質アジュバント搭載エンベロープウイルスレプリカの構築が示唆された。次に、モデルマウスへの腹腔投与後の免疫活性化評価では抗原特異的な強力な免疫活性が確認された。さらに、α-GalCerの搭載によりアレルギー応答に関与するサイトカイン放出の抑制に成功した。以上の結果より、完全人工合成によりボトムアップかつ自在に機能を付与可能な新規ワクチン材料の開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究結果は、当初の研究計画通りの成果を得られることができたため、おおむね順調に進展していると言える。共同研究先である大阪大学深瀬研究室とも頻繁にデスカッションを行いながら研究を進めることができ、さらにこの成果を基に論文執筆を行っている点も大きな理由の一つである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、より最適なアジュバントとの組み合わせをスクリーニングにより見つけ、標的の免疫のみを活性化させることのできるウイルスレプリカワクチンを開発する。さらに、新規感染症を標的としたウイルスレプリカワクチンの開発も検討している。
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