研究課題/領域番号 |
22J14355
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
成松 勇樹 広島大学, 統合生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | 新規脳因子 / 肥満 / 白色脂肪組織 / 慢性炎症 / 代謝異常 |
研究実績の概要 |
肥満は生活習慣病の原因因子として注目されているが、近年では、肥満の程度が低くても重度の糖尿病になる症例が報告されている。したがって、肥満研究において、どれだけ太っているか(脂肪量)だけでなく、あとどれだけ太れるか(肥満限界)も重要である。しかし、肥満限界を制御する因子およびその分子機構は明らかではない。研究代表者は、新規脳因子であるneurosecretory protein GL (NPGL)が肥満を誘導すること、代謝異常を引き起こす炎症を抑制することを明らかにしている。すなわち、NPGLは肥満限界の鍵因子であると考えられる。したがって、本研究では、NPGLが担う炎症抑制を起点とした、肥満限界の制御機構を明らかにすることを目的としている。本年度の解析では、通常食を給餌したマウスの脂肪組織や血液中に存在する炎症性(M1)マクロファージ、抗炎症性(M2)マクロファージ、T細胞、B細胞の割合をフローサイトメトリーにより解析した。その結果、NPGLlを過剰に発現させたマウスにおいて、脂肪重量が増加した一方で、内臓脂肪組織におけるM1/M2マクロファ―ジ比が低下することが明らかとなった。内臓脂肪組織におけるM1/M2マクロファージ比はインスリン抵抗性と密接に相関することが知られている。したがって、NPGLは内臓脂肪組織におけるM1/M2マクロファージ比を低下させることで、脂肪組織における慢性炎症を抑制し、代謝異常を伴わずに肥満を誘導することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フローサイトメトリーの解析手法を確立し、NPGLの標的免疫細胞の候補を同定することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
NPGLを過剰発現させたマウスの内臓脂肪組織や血中に含まれる炎症性サイトカイン濃度を測定する。また、高脂肪食を給餌したマウスとNPGLを過剰発現させたマウスにおいて、血糖値や血中脂質、内臓脂肪組織におけるM1/M2比等を比較する。
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