研究課題
当該年度ではアルミニウム粉体の粒径(10-54μm)が火炎伝播挙動に与える影響に着目して研究を実施し,成果報告を行った.特に当該年度では昨年度まで用いてきた燃焼容器に改良を加えて再度燃焼実験を実施した.希薄条件および大粒径の火炎伝播挙動を調べるためには,粉体の重力沈降を無視できる微小重力燃焼実験が有効であり,微小重力場において低速で浮遊する粉塵雲中の火炎伝播挙動を高速度撮影した.可視化結果に対して画像解析を行い粉塵濃度を評価し,粉塵濃度が同じであっても粒径が大きくなるとアルミニウム粉体火炎は不連続的な形状を示し離散火炎になることを実験的に示した.この火炎伝播挙動の変化は,熱伝導の特性時間および熱容量の特性時間のバランスで説明できる.特に粒径が大きくなるほど熱容量の特性時間が長くなり,火炎伝播挙動が変化して離散火炎が見られたと考えられる.このような燃焼限界付近で見られる離散火炎の火炎伝播挙動の知見は,火炎伝播に支配的なパラメータの解明に役立ち,燃焼限界の予測および粉塵爆発リスク評価の高精度化に貢献することが期待できる.また粒径の影響についてより高精度に評価を行う必要性を見出し通常重力場において燃焼実験の拡大撮影についても実施中である.また,火炎近傍の燃焼挙動をさらに詳細に調べるために光学系の改良を実施済みであり,次年度より本光学系を用いることでさらに詳細な火炎構造の考察を行っていく所存である.
2: おおむね順調に進展している
交付申請書に記載した研究の計画に対してやや軌道修正は必要となったもののおおむね順調に進展していると判断する.特に可視化システム光学系・画像解析プログラム等の構築は今後の研究を大きく推進させるものであり大きな成果と言える.従来の研究手法ではタイムパフォーマンス・コストパフォーマンス等に関して課題が残っていたが,当該年度で課題を解決したため今後一層の研究成果が期待できる.
これまでの成果について国際ジャーナルへの投稿を進めていく.また,当該年度に構築した実験装置および解析システムを用いて,各種パラメータ(雰囲気気体条件を変化)が火炎伝播に及ぼす影響を実験的に明らかにする所存である.またこれまでの成果を取りまとめる.
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すべて 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件)