研究実績の概要 |
昨年度はマグマオーシャンに相当する超高温高圧実験手法の確立に着手した。手法を確立するにあたって圧力校正実験を遂行し、高温を発生させるために最適なレニウムヒーターの形状を考案した。結果として、先行研究では7 GPa・1800℃までに限られていた高温高圧実験条件 (Li et al., 2016; Dalou et al., 2019)を、7 GPa・2400~2500 ℃にまでに拡張し複数回実験することができた。鉄メルト―ケイ酸塩メルト間の同位体分別係数は温度に強く依存することが知られていることから(e.g., Bigeleisen and Mayer, 1947; Urey, 1947)、今回確立できた手法によって地球核形成における窒素同位体分別過程の直接的な制約がなされることが期待される。 高知コアセンター (KCC)とは共同研究を進め、高分解能SIMSによる分析を行う予定である。KCCの共同研究者とは急冷回収した試料の表面に関する意見交換を行っており、今後研磨方法の工夫を試みる。 他に、博士課程中に得られた成果を地球科学専門の国際誌へ投稿したが、Major Revisionとなってしまったため、査読者のコメントを基に原稿を修正し今年度の4月に再投稿した。また、博士課程中に参加していたJ-PARCでの実験によって得られた成果がScientific Reportsに掲載された。本成果は日本経済新聞など様々なメディアで取り上げられている。 東京大学とは愛媛大学先進超高圧科学研究拠点(PRIUS)共同研究を行い、phase Aの水素結合に関する実験に参加した。成果はPRIUSシンポジウムで報告されている。
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