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2022 年度 実績報告書

地球核形成における窒素同位体分別過程の実験的解明

研究課題

研究課題/領域番号 21J00653
配分区分補助金
研究機関愛媛大学

研究代表者

福山 鴻  愛媛大学, 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2021-04-28 – 2024-03-31
キーワード超高温高圧実験 / マルチアンビル高圧発生装置 / 地球核形成 / 窒素同位体分別効果 / 二次イオン質量分析法
研究実績の概要

昨年度は2500 ℃にまでに及ぶ急冷回収実験に関する学会発表を行った他、得られた試料を高知コアセンターにて分析準備及び分析することを試みた。高知コアセンターに設置された高分解能SIMSによる分析を行うにあたって、表面を極力平面に研磨することが不可欠であり、現地でその技術の習得をすることができた。しかしながら、窒素同位体分析には重窒素が富んだ標準試料の作成が必要となるのだが、このような標準試料を窒素定量のためにガスマスで一度分析すると、装置を汚染し今後の分析に影響を与えてしまうことから(メモリー効果)、国内で窒素同位体分析を確立していくことは比較的困難であることが共同研究者と十分議論していく中で分かった。そこで、窒素同位体分析手法が確立されているフランスのCRPGと打ち合わせを行い、今後はCRPGと共同研究を行っていく予定である。
また、昨年度は本研究課題に関連する窒素同位体分別の論文は2本新たに報告された (Shi et al, 2022; Grewal et al., 2022)。先行研究(Dalou et al., 2019)を含めると、これら3つの報告はすべて異なっており、依然として地球核形成過程における窒素同位体分別における統一的な見解は得られていない状態である。このような違い原因の1つとして、実験中の閉鎖系と平衡が不十分である可能性が指摘されており、今後実験中に反応が進みにくいカプセル材料を選定していく必要がある。一方、超高温では閉鎖系が不完全であることの影響を受けにくいことが報告されていることから(Shi et al., 2022)、2021年度に超高温での実験手法を確立していることが今後生きてくる可能性がある。
他に、博士課程から取り組んでいたbridgmaniteの窒素溶解度に関する研究が、無事昨年度の3月にScientific Reportsに掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年はコロナウィルスによる渡航制限の影響を想定して国内でのSIMSによる窒素同位体分析の手法の確立を目指した。しかしながら、重窒素に富んだ標準試料を作成できたとしても定量するにあたって障壁が多く存在し得ることが研究を進めていく中で分かった。結果として、分析の予定は遅れることが予想されるが、今回のような質量分析に関する様々な知見を得られたことは貴重な体験であり、遅れに関してはフランスの研究機関と共同研究を行うことによって対応できると考えたため。
また、博士課程から取り組んでいた下部マントル主要鉱物であるbridgmaniteの窒素溶解度に関する研究が、無事昨年度の3月にScientific Reportsに掲載されたことも加味した。上記のような下部マントルにおける窒素の実験研究は依然として少なく非常に重要な成果と捉えている。

今後の研究の推進方策

地球核形成における窒素同位体分別に関する先行研究間での違い (Dalou et al., 2019; Shi et al., 2022; Grewal wt al., 2022)の原因が、カプセルの材料の違いが要因である可能性があることから、実験中に試料と反応しないカプセル材を新たに検討していく。既に高融点を持つイットリウム付加単結晶ジルコニア基板を購入しており、今後複数回実験を行い検証していく予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [国際共同研究] CRPG/ロレーヌ大学(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      CRPG/ロレーヌ大学
  • [雑誌論文] Temperature dependence of nitrogen solubility in bridgmanite and evolution of nitrogen storage capacity in the lower mantle2023

    • 著者名/発表者名
      Fukuyama Ko、Kagi Hiroyuki、Inoue Toru、Kakizawa Sho、Shinmei Toru、Sano Yuji、Deligny C?cile、F?ri Evelyn
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 ページ: 1-10

    • DOI

      10.1038/s41598-023-30556-5

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Temperature dependence of nitrogen solubility in bridgmanite: Evolution of the nitrogen storage capacity of the lower mantle2023

    • 著者名/発表者名
      Ko Fukuyama, Hiroyuki Kagi, Toru Inoue, Sho Kakizawa, Toru Shinmei, Yuji Sano, Cecile Deligny, Evelyn Furi
    • 学会等名
      5th International Seminar “High-Pressure Mineralogy: Theory and Experiment”
    • 国際学会
  • [学会発表] Xuejing He, Hiroyuki Kagi, Kazuki Komatsu, Asami Sano-Furukawa, Jun Abe, Ko Fukuyama, Toru Shinmei2023

    • 著者名/発表者名
      The hydrogen-bonding configuration of fluorine-doped brucite under high pressure
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2023年大会
  • [学会発表] Effects of sulfur on the hydrogenation of iron in early Earth’s evolution2022

    • 著者名/発表者名
      Riko Iizuka-Oku, Hirotada Gotou, Chikara Shito, Ko Fukuyama, Yuichiro Mori, Takanori Hattori, Asami Sano-Furukawa, Ken-ichi Funakoshi, Hiroyuki Kagi
    • 学会等名
      2022 Goldschmidt Conference
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Ultrahigh-temperature and high-prssure experiment for determination of nitrogen isotope fractionation during Earth's core2022

    • 著者名/発表者名
      福山鴻,入舩徹男
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2022年大会
  • [学会発表] 地球コアにおける軽元素と水のふるまい:高温高圧中性子回折実験によるアプローチ2022

    • 著者名/発表者名
      飯塚理子、後藤弘匡、市東力、森悠一郎、福山鴻、服部高典、佐野亜沙美、舟越賢一、鍵裕之
    • 学会等名
      2022年度日本地球化学会第69回年会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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