世界中の海に進出している海棲哺乳類であるが,その海洋進出は異なる時代にまたがって数回起き,進出初期には現在と大きく異なった形態を持っていたが,その後,各系統で独自に形態を多様化させると同時に,生息域を拡大させたことが知られている.これまで,個別の分類群について多様化・海域拡大を議論した研究は少なくないが,異なる系統を含む海棲哺乳類の全体像を同一の視点から比較検討する試みはほとんどなされていない.そこで,特に頭蓋骨内に残された脳神経・感覚器形態など,化石から抽出可能な生息環境を反映する全ての特徴についてCTスキャン等を用いて精査し,そこから海棲哺乳類の多様化・生息海域拡大の要因を明らかにするために研究を遂行している.
今年度も主にスミソニアン国立自然史博物館を研究の拠点として研究を遂行した。それに加え,California州Orenge郡から見つかっている超大型の海棲哺乳類の化石についても併せて研究を遂行した.
本年度は本研究課題の最終年度であったため,学会発表および研究のまとめに重点を置き,研究を遂行した.
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